キャッシュレス決済とは、簡単に言うと「現金を使用しない決済」のことを言います。 日本では昔から現金で支払うことが主流でしたが、ここ数年でキャッシュレス決済が徐々に浸透してきています。 「〇〇ペイ」といったサービス名で日常的によく耳にするようにもなりました。
本投稿では、日本国内で現金決済が定着した背景となぜ最近キャッシュレスというワードをよく耳にするようになったのかについて触れつつキャッシュレス決済の種類やメリット、お店で導入するにはどのようにしたら良いのかについて紹介していきます。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
キャッシュレス決済端末の導入に関する基本知識とメリットを紹介します。導入により、顧客の利便性向上や売上の増加が期待でき、現金の取り扱いリスクを軽減できます。また、手数料や端末の選定ポイントについても触れ、スムーズな運用が可能になる方法を解説しています。
2019年時点、日本では約8割の支払いが現金で行われています。 その理由として昔から現金で支払いができる仕組みやインフラが、きちんと整っており特に困ることなく現金が使えること、合わせて治安が良く偽札の流通も少ないため安心して現金支払いができること、現金払いに慣れていることなどが挙げられます。
国内の仕組みから見ても一般消費者の感覚から見ても、「現金で支払いができればひとまず大丈夫!」という環境があります。 町中にあるお店で取扱っている現金以外の決済手段が少ないからだと思われる方もいるかもしれませんが、 お店の側にも現金決済のほうが良いと考える理由がいろいろあります。 例えば・・・
現金以外の決済手段の導入に二の足を踏んでいるお店も多くあります。 それとは逆に日本の一般消費者側からしても、
といった理由で、必ずしもキャッシュレス決済に積極的でないことが挙げられます。 しかし、2019年9月に株式会社インフキュリオン、株式会社電子決済研究所および山本国際コンサルタンツが発表した「キャッシュレス決済の市場規模に関する調査レポート」によると2025年にキャッシュレス決済市場は128兆円を突破、QRコード、バーコード決済市場は9.7兆円と予測されており、次第に現金以外の決済手段にも対応していく必要性が出てきました。
また少子高齢化による人手不足やインバウンドの需要への対応など、将来を見据えたときに、業務効率化の目的でキャッシュレス決済を取扱う店舗運営が検討されるようになってきました。
政府では東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、海外旅行客が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて「クレジットカード決済対応100%」の実現を目標とし、2025年の大阪万博開催までには国内の決済キャッシュレス比率を40%まで高めることを目標にしています。
こうした流れの中で、今後日本国内ではキャッシュレス決済手段がさらに普及していく事が予想され、政府もキャッシュレス決済普及のため助成金制度など様々な施策を行っています。
すでに世界的に広く使われているものではクレジットカードやデビットカードがありますが、 日本国内では、ここ数年で非常に多種多様なキャッシュレス決済手段が出てきています。
交通系などの電子マネーなども非常に身近なものとして認知されてきています。 ではキャッシュレス決済の種類と特徴を順番に見ていきましょう。
利用者がカード発行会社に契約を申し込むと利用者の支払能力を調べ、信用に値すると判断した場合にカードが発行され、利用者はカード発行会社が定めたカード利用枠の中で支払いが可能となる仕組みです。
日本の成人人口1人当たり約2.7枚の保有があり2018年時点で約60兆円の市場規模があります。 利用者が加盟店でクレジットカードを提示し暗証番号の入力もしくは署名をすると、カード発行会社が商品代金を一時的に 肩代わりし後日利用者に代金を請求します。
請求のタイミングは翌月以降になることが多く分割払いやリボ払いも選択できるので、支出のタイミングを自分でコントロールでき高額商品の購入にも利用可能です。 カード情報が盗まれて不正利用された場合の補償制度も整っています。
従来はカードの磁気部分を読み取って決済処理をしていましたがスキミングによる偽造被害の増加をきっかけに現在では国際的な接触型ICカードの統一規格EMVに準拠した安全性の高いカードが発行されています。また店舗に設置する決済端末も2020年3月末までにEMVの基準を満たすものへの移行が必要となっています。
デビットカードとは銀行のキャッシュカードに決済機能を搭載して、口座の残高から直接引き落とす仕組みです。 特に欧米で普及している決済手段で日本では1999年からJ-Debit(ジェイデビット)という名称でサービスが開始され、その後多くの銀行キャッシュカードがお店での支払いに使えるようになっています。
近年ではVISAやMastercard、JCBといった国際ブランドもデビットカードを発行しており、ブランドデビットはクレジット決済を取扱うお店で、クレジットカードと区別なく利用可能です。
クレジットと大きく異なるのは銀行口座の残高以上の支払いができない点です。 銀行口座に残高があれば口座から即座に利用額だけ引き落とされます、そのため債務超過に陥る心配がありません。
またチャージの手間や決まった期日までに口座へ入金するなどの手間も省けます。 逆に口座にお金があればいくらでも使えてしまうことや、残高不足の際に使用できないという点については注意が必要です。
プリペイドカードは事前にカードにお金をチャージしておき、チャージ額の中から支払いををする仕組みです。事前チャージにより利用限度額を決められるので使い過ぎを防止でき、多くの場合年齢制限なく利用できるのでクレジットカードを持てない未成年や主婦に人気の決済手段です。
支払額がチャージ額を上回った場合には再チャージが必要で残高に端数が残ってしまうことがありますが、最近では 一円単位でのチャージが可能であったり、クレジットカードと紐づけておけば一定額を下回ると自動でチャージされるサービスもあります。
コーヒーショップや量販店、メディア配信サービスなど特定のお店や用途でのみで使えるプリペイドカードも多数発行されており、プレゼントとして誰かに渡すことができたりポイントが貯まってお得になるなどのメリットがあります。
ICチップ内蔵のカードやスマートフォンを専用の読取端末にかざして決済する仕組みです。 日本の非接触ICチップは読み取り時間が短いのが特徴で、スピーディーに支払いを済ませることができます。
交通機関の乗車券として使える交通系電子マネー(主要10ブランドが相互利用可能)や、商業系・信販系電子マネーなどが広く流通しています。 チャージ金額や支払額に応じてポイントが付与される電子マネーもあり、使えば使うほどポイントが貯まるので 現金より電子マネーを好んで使用する利用者も多くいます。
多くのサービスでチャージ上限額が設定されているほか、残高不足の際には再チャージが必要となるため、 高額商品の購入にはあまり向いていません。
QRコード決済(アプリ決済)はスマートフォンの急速な普及に伴い世界中で注目を集め、日本でも2018年頃から急激に広まりを見せている決済手段です。中国ではALIPAY、WeChatペイの2大QRコード決済がすでに定着しており、公共料金の支払いから屋台に至るまで国内どこでも支払いができる仕組みが整っています。
QRコード決済は利用者に安定した通信ができるスマートフォンがあることが前提になります。 そのため、基本的に通信できない時や、スマホのバッテリーが切れているとき、故障しているときなどには使うことができません。
利用者はスマートフォンアプリに自分のクレジットカードや銀行口座の情報を紐づける、または現金をチャージしておき、支払い時にQRコードもしくはバーコードを表示させお店のリーダーで読み取る、またはお店が提示するQRコードを利用者のスマホで読み取ります。
専業QR決済業者や流通・小売企業が提供するもの、SNSに連携させたものや通信事業者が提供するもの、銀行系、地域経済振興目的のものなど無数のQRコード決済が国内で乱立しており、 将来的にどのQR決済がメジャーなものになっていくか予想するのが非常に難しい状態です。
またレジを通さない新たなアプリ決済の利用形態として、店舗専用のスマホアプリの中で支払いを済ませるサービスも出てきており、レジ業務の削減・業務効率化やOtoOへの活用など次世代の決済ソリューションも出てきています。
2021年時点では、日本国内ではまだ決済手段としての認知度があまりなく 実際に支払いに使えるお店も限られていますが、国内の決済手段として定着するかどうかはこれから時間をかけてみていく必要がある決済手段です。
お店側が決済端末を導入し、キャッシュレス決済を取扱うメリットには以下のようなものがあります。
決済端末を導入しキャッシュレス決済の取り扱いをスタートするには、大きく2つの方法があります。1つ目は「直接契約方式」といい各ブランドに個別に連絡し直接交渉して契約します。 もう一つは、決済代行会社を経由して複数のブランドと一括で契約する「決済代行会社経由契約方式」です。それぞれの特徴は以下の通りです。
取扱いを希望するブランド各社の審査手続きが必要になります。 クレジットカードを例に挙げると、「5大国際ブランド」と呼ばれているVISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubすべてを取扱うためには複数のブランドとそれぞれ契約することになります。
無事審査が通ったとしても各社で入金のサイクルが違う、決済手数料が異なるといった問題があり売上集計や管理が困難になってしまうため、一部の大規模加盟店を除いて小・中規模店ではあまり用いられない方法です。
中・小規模店舗でよく利用されるのが、決済代行会社を経由した導入です。 決済代行会社が仲介役となってブランド各社との契約手続きを一括で行ってくれます。 加盟希望店舗は1つの決済代行会社と手続きするだけで、クレジット5大国際ブランドをはじめ複数社の審査を一気に受けることができます。
大規模チェーン店を運営する企業ではブランド各社と直接契約し手数料率などを個別に取り決めているケースもありますが、中・小規模の店舗では決済代行会社経由での契約が一般的になっています。決済代行会社経由の契約には、手続きがスムーズであるほかにもたくさんのメリットが存在します。
決済代行1社と契約を結ぶだけで複数のブランドとの手続きが不要になり、 審査が通った後も加盟店は決済代行1社とのやりとりのみでキャッシュレス決済を運用することができます。
複数のブランドと直接契約すると入金サイクルも各社のルールに従うこととなります。 一方、決済代行会社との契約では締め日や入金タイミングが統一され、売上集計や入金管理、経理作業が簡素化されます。
中・小規模店舗の場合、直接契約よりも決済代行会社と契約する方が決済手数料が安くなることがあります。決済代行会社は多数の契約店舗の合計売上額を基に各ブランドと契約しているので、手数料を抑えることができます。決済代行会社を利用するメリットには上記のようなものがありますが、次に「どの決済代行会社と契約するか?」ということを検討しなければなりません。国内にはすでに決済代行会社がたくさん存在し、それぞれの会社ごとに特色があるのでよく比較したうえでお店に合ったものを選択しましょう。
契約実績の中に大手企業があったり、契約年数が長い企業がそろっている決済代行会社はシステムの安定性が期待できます。また、中・小規模店舗の契約が多い決済代行会社であれば、審査が比較的通りやすいといえるでしょう。 ご自身の経営する事業形態と類似する店舗の契約実績が豊富かどうかもポイントになります。
例えばECサイトのオンライン決済を希望の場合、クレジットカード以外にも、キャリア決済やコンビニ決済、銀行振込、口座振替などの決済サービスが利用可能かどうか確認しましょう。 お客様からすると決済方法の選択肢が多いに越したことはありません。
1社の決済代行会社で行えることが増えれば、効率良く多様なサービスを導入できます。
費用の比較は一番重要なポイントです。導入時の初期費用と、契約後にかかる決済手数料や固定費・維持費はいくらなのか必ずチェックしましょう。 初期費用として主なものは決済端末購入費用ですが、スマートフォンやタブレット端末を活用した決済サービスを提供している決済代行会社では専用の決済端末の購入が不要なケースもあります。
固定費や維持費といった月額利用料の有無も必ずチェックします。決済手数料以外に「月額最低手数料」など追加の月額費用が発生する場合、いくら初期費用が安くても後々トータルコストがかさんでくるため「初期費用と決済手数料のみ」などシンプルな契約になっている会社を選ぶと良いでしょう。キャッシュレス決済を導入すると決めたら「導入審査申請」を進める必要があります。
審査期間は申請する会社にもよりますが、早いところでは申請当日~5日以内、長ければ2ヶ月ほどかかります。 審査に時間を要し開業に間に合わないといった事態にならないよう、余裕を持って審査申請をするようにしましょう。
無事審査に通過した後は決済代行会社のサイトやアプリの管理画面から店舗情報や口座情報などの初期設定を行い、すぐに運用を開始できます。お客様への周知を行い集客とお店の売上向上につなげていきましょう。
最初に日本では現金決済が主流であると述べましたが、外国人旅行客の利便性向上や業務効率化、サービスと連携することによる集客など、キャッシュレス決済を導入する必要性やメリットがあることも一緒に説明してきました。
政府でもお店のキャッシュレス決済導入に向けた補助金を出しており、これまで検討してこなかったお店にとってもキャッシュレス決済の導入を検討する良いタイミングです。 しかしながら、やみくもにキャッシュレス決済を導入すること、取扱う決済手段を増やすことはおすすめできません。端末購入費用や決済手数料の負担、オペレーションの負荷が増したりスタッフへの教育コストがかかる事、事務的・管理的業務の複雑化など キャッシュレス決済導入によって新たに発生する負担があることもきちんと認識する必要があります。
お店の商材や立地・地域性、客層といった特徴や今までに聞かれてきた要望をきちんと整理しよく吟味した後で、利用者の利便性・満足度向上や売上向上、業務効率化につながる効果的な決済手段を見極め選んでいく必要があります。
様々な「〇△ペイ」が乱立し、今後も新しい決済サービスが増え、いろいろな物事が変化していくことが見込まれる状況で、お店の側も利用者側も何が必要で何が不要か、定期的に見直したり取捨選択していく事が大事になっていくでしょう。
参考:経済産業省 キャッシュレス社会への取り組み
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/sankankyougikai/fintech/dai1/siryou2.pdf
参考:PR TIMES キャッシュレス決済の市場規模に関する調査レポート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000031359.html
参考:インフキュリオン 2025年のキャッシュレス決済市場は128兆円を突破。
https://infcurion.com/news/news-20190924_611/
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