レジでの接客は、店舗の印象を大きく左右する重要なポイントです。いくら商品やサービス内容が良くても、接客ひとつで低評価をつけられるケースもあるほどです。
言葉遣いや会計の流れ、NG表現などをマニュアルとして整理しておくことで、スタッフ全員が均一で質の高い接客を提供できます。
本記事では、レジ接客の基本から正しい言葉遣い、注意すべきNG表現まで詳しく解説します。新人教育や接客品質向上に役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。
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【今回のコラムをざっくりまとめると…】
レジ接客は、「店の印象」を左右する重要なポイントです。だからこそ、誰が担当しても同じ品質で対応できるマニュアル化が必須といえます。接客の流れや正しい言葉遣いをマスターしたい方は、ぜひ参考にしてください。
接客において正しい言葉遣いは、お客様と良好な関係を築くために大切なポイントです。特にレジ業務では、入店時の挨拶から会計、退店まで短い時間で多くのやり取りが行われるため、正しい言葉選びが印象を大きく左右します。
ここでは、接客マニュアルに盛り込むべき基本的な言葉遣いや意識すべきポイントを解説します。
「いらっしゃいませ」は、接客の最初に必ず用いられる基本的な言葉です。そのため、お客様の顔を見ずに伝えるのはNG。お客様が店舗に入った瞬間に、顔を見て笑顔で明るくお声がけすることで、安心感や歓迎の気持ちを伝えられます。
語尾を短く「いらっしゃいませ」と切るとフォーマルで落ち着いた印象になり、語尾を伸ばして「いらっしゃいませ~」と発音するとカジュアルな印象を与えられます。お店の雰囲気や客層に応じて使い分けることが大切です。
「お待たせいたしました」は、お客様をお待たせしてしまった場面で必ず使うべき丁寧な表現です。通常の「お待たせしました」に、謙譲語の「いたす」を加えることで、より誠実で敬意のこもった印象を与えます。
たとえお客様を待たせた時間が短い場合でも、「お待たせいたしました」と伝えると丁寧で失礼がありません。接客においては「待たせてしまったことを申し訳なく思っている」という気持ちを込めることが重要です。
「かしこまりました」は、お客様からの注文や要望を理解し、承諾する際に使う言葉です。「承知しました」との違いは、より格式が高く、丁寧で改まった印象を与える点にあります。同じ意味の「わかりました」「了解しました」は丁寧語です。
接客やビジネスの場面では、より丁寧な印象を与えるために「かしこまりました」を用いることが推奨されます。
「少々お待ちください」は、お客様を待たせる際に使う表現です。短い時間であっても、お客様を待たせることに変わりはないため、丁寧に伝えましょう。「少々お待ちください」の一言がなくその場を離れてしまうと、お客様も不安です。
加えて「3分ほどでご案内いたします」など具体的な目安時間を添えると、お客様は安心して待つことができます。ただの時間稼ぎではなく「お客様の時間を大切にしている」という誠意を伝えるために欠かせません。
「申し訳ございません」は、お客様にご迷惑をおかけした際や、誤りが発生した際に用いる丁寧な謝罪表現です。「すみません」を使いがちですが、丁寧さに欠けてしまいます。
「申し訳ありません」も接客の場面ではあまり使わないため、より丁寧な「申し訳ございません」を使うようにしましょう。
さらに、状況に応じて「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」や「確認不足で申し訳ございません」など、補足説明を加えることで、より誠実さが伝わりやすくなります。
「恐れ入ります」は、お客様に依頼や要望を伝える際に使う言葉です。たとえば「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」と聞くことで、お願いをスムーズに伝えられます。
また、感謝の意を表す場合や、相手の意向に沿えないときのクッション表現としても使えます。「恐れ入りますが、こちらの商品は在庫切れです」と伝えると、否定的な内容でも角が立ちません。
「ありがとうございます」は、接客の中で最も頻繁に使う基本的な言葉です。お客様が商品を購入したとき、退店するときなど使う場面が多くあります。
お客様への敬意と感謝の気持ちを込めて、はっきりとした声で伝えることが大切です。さらに「誠にありがとうございます」や「大変ありがとうございます」といった形で強調すると、より深い感謝の気持ちを表現できます。
感謝の言葉は接客の印象を大きく左右するため、作業中であっても一旦手を止め、お客様の方を見て伝えるようにしましょう。
レジ接客の具体的な流れは以下のとおりです。
それぞれ解説します。
お客様がレジにいらっしゃった際には、まず笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけることが大切です。商品は必ず両手で受け取り、飲食店などでは伝票も同様に扱うことで丁寧さを伝えられます。
レジの待ち時間があった場合には「お待たせいたしました」と一言添えると、お客様への配慮が伝わるでしょう。また、商品の破損や伝票の記載に誤りがないかをその場で確認しておくことで、後々のトラブル防止につながり、スムーズな会計対応が可能となります。
商品や伝票を受け取った後は、割引クーポンやポイントカードの有無も確認します。提示があれば速やかに内容をチェックし、忘れずに適用処理を行いましょう。
ここでの確認を怠ると、会計後に「クーポンを使いたい」と申し出があり、返金や再処理といった余計な手間が発生します。返金や再処理が発生すると、お客様を待たせる原因となってしまうため、事前に確認するようにしましょう。
すべての商品登録や割引の処理が完了したら、合計金額をはっきりと伝えます。
【例】
「ありがとうございます、〇〇円でございます」
「ありがとうございます、3点で〇〇円でございます」
併せて、お客様が希望する支払方法を確認しましょう。現金・クレジットカード・QRコード決済など、複数の選択肢があるため、適切に対応できるように準備しておく必要があります。
【例】
「お支払い方法はいかがされますか?」
クレジットカードの場合は、「一括払い」「分割払い」などの方法も確認しましょう。
お客様が選んだ方法で会計処理を行います。現金の場合は、受け取った金額を復唱し、お釣りを丁寧に数えて渡すことが重要です。お釣り間違いはクレームにつながるため、落ち着いて対応しましょう。
【例】
「〇〇円、お預かりいたします」
「お先に1,000円、2,000円のお返しと、300円のお返しでございます」
クレジットカードの場合は、「暗証番号のご入力をお願いいたします」と案内し、入力時には視線を外すなどプライバシーに配慮しましょう。こうした細やかな声かけや配慮が、お客様に信頼感を与えるポイントとなります。
会計が完了したら、商品と一緒にレシートをお渡しします。その際には「ありがとうございました」と感謝の言葉を添え、笑顔でお見送りすることが基本です。
また、「ありがとうございます、またのご来店をお待ちしております」などの一言を添えると、より丁寧な印象を与えられます。特に混雑時でも最後の一言を忘れないことで、お客様に良い印象を残せるでしょう。
こうした積み重ねが「また来たい」と思っていただける店舗づくりにつながるのです。
接客の場では、正しい言葉で対応しているつもりでも、誤った言葉遣いを繰り返しているケースがあります。
これらは、丁寧に聞こえても実際には誤用です。無意識に使ってしまうとお客様に違和感を与える恐れがあります。
ここでは、注意したいNGな言葉遣いを解説します。
「〇〇円になります」という表現は、金額を伝えるときに使われがちですが、間違った日本語です。「なる」は状態の変化を表す言葉であり、合計金額を伝える場面では適していません。
クーポンを利用して値引きがあった場合には「金額が変化する」という意味で用いられることはあります。しかし、通常の会計では金額は確定しており変化するものではありません。
そのため、金額を伝える際は「〇〇円でございます」「〇〇円です」が正しい表現です。
「〇〇円からお預かりいたします」という言葉は、いわゆる「バイト敬語」の典型例として知られています。この表現は本来の意味を考えると不自然です。
本来は「〇〇円をお客様からお預かりいたします」という表現で、「お客様」の部分が省略されています。「お客様」を省略する場合は、「〇〇円をお預かりいたします」と伝えるのが正解です。
「〇〇円ちょうどお預かりいたします」という言葉もまた、接客においては不自然で誤った表現とされています。なぜなら「お預かり」とは本来、一時的にお金を受け取るという意味合いを含んでおり、お釣りを返す前提で使う言葉だからです。
お客様からぴったりの金額をいただいた場合には、お返しする必要がないため「預かる」というニュアンスが合いません。正しくは「〇〇円ちょうど、いただきます」や「〇〇円ちょうだいいたします」と伝えるのが適切です。
「よろしかったでしょうか」という言い回しは、接客業でよく耳にしますが、実際には誤った表現です。「よろしかった」という過去形を用いているため、現在の状態を確認するには適さない点にあります。
レジ接客では、「〇〇でよろしいでしょうか?」と現在形を用いるべきです。もちろん過去のことを確認する場面では、「よろしかったでしょうか?」は正しい使い方といえます。
「どちらにいたしますか」という表現は、一見すると丁寧そうに見えますが、実際には不適切です。「いたす」という言葉は謙譲語であり、自分の行動をへりくだって伝える際に用いられるため、お客様の選択を尋ねる場面で使うのは誤用になります。
お客様に選んでいただく場合には「どちらになさいますか」が正しい言い回しです。たとえば「お支払いは現金とカード、どちらになさいますか」と伝えれば、自然で丁寧なやり取りができます。
レジ接客では言葉遣いだけでなく、以下のようなポイントにも注意しなければなりません。
それぞれ解説します。
レジ接客において第一印象を大きく左右するのが「身だしなみ」です。清潔感のある服装や整った髪型は、お客様に安心感と信頼感を与えます。
お客様からの印象をよくするために、以下のポイントを意識しましょう。
特に食品を扱う飲食店や小売業などでは、衛生面が重視されます。常に鏡で自分の身だしなみをチェックする習慣を身につけておきましょう。
挨拶ひとつで店舗の印象を決定づけると言っても過言ではないほど重要なポイントです。レジでは「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」などの言葉を、笑顔で明るく、はっきりとした声で伝えることが大切です。
お客様の目を見て挨拶することで、良い第一印象につながります。逆に、声が小さい、目を合わせないといった態度は不親切な印象を与えるため注意が必要です。
挨拶を習慣化し、接客全体の質を高める意識を持ちましょう
レジ業務では「スピード」と「正確さ」の両立が不可欠です。お客様を待たせないよう迅速に対応することは大切ですが、釣銭の渡し間違いなどが発生すると、結局は訂正に時間がかかります。
レジでのスピードや正確さが欠けていると、クレームにつながる恐れもあるため注意が必要です。レジ対応のスピードと正確さを実現するためには、自動釣銭機付きのPOSレジがおすすめです。
自動釣銭機付きのPOSレジを導入すれば、自動でお釣りが排出されるため、釣銭の渡し間違いが発生せず、会計スピードを高められます。
POSレジの導入は、接客の質を高めるうえで非常に効果的です。自動釣銭機と連携することで、お釣りの渡し間違いを防ぎながら、スピーディーかつ正確な会計処理を実現できます。その結果、スタッフは会計作業に追われることなく、より丁寧な接客に集中できる環境を整えられます。
さらに、POSレジは売上データや顧客の購買履歴を自動的に記録し、分析に活用できる点も大きな魅力です。データをもとに販売戦略を見直したり、キャンペーンの効果を検証したりすることもできます。
マーケティング施策に役立てれば、店舗運営全体の改善や売上向上につなげることが可能です。POSレジは、レジ業務の効率化と顧客満足度向上の両方を実現する最適なツールといえるでしょう。
レジでの接客は、単なる会計業務ではなく、店舗の印象を大きく左右する大事な場面です。普段使っている表現の中には誤用が紛れている場合もあるため、まずは正しい言葉遣いや接客の基本的な流れを身につけましょう。
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