「キッチンカーを始めたい。でも何から準備すればいいのか全然わからない。」
そんな不安を抱えているあなたへ。
開業には、車両の準備や営業許可の取得、初期費用の見積もり、そして収益モデルの検討など、多くのステップがあります。
たとえば、「車さえ買えばすぐ営業できる」と思っていたら許可が下りなかった…「100万円で始めたら赤字になった」など、よくある失敗も防げるよう、押さえておくべきポイントを一つずつ確認してみてください。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、キッチンカー開業を目指す20〜40代の方に向けて、「キッチンカー開業の全体像」「初期費用の目安」「収益を出すための仕組み」まで、実践的な内容を段階的に解説しています。 どこに時間とお金をかけるべきかを知ることで、無駄な失敗を防ぎ、スムーズなスタートを切ることができるはずです。
キッチンカーとは、車両内にキッチン設備を備え、移動しながら現地で調理・販売を行える「移動型の飲食店」です。 保健所の営業許可を受けた上で、イベントや街中、オフィス街などに出店し、その場で商品を調理・提供できるのが大きな特徴です。 最大のポイントは、“車両内だけで調理・提供が完結する”という点。
屋台や露店のように、外部に設備を設けるのではなく、車の中がまさに「お店」そのもの。
そのため、給水タンク・換気扇・シンク・冷蔵庫などの設備基準を満たす必要があります。 また、飲食店のように物件を契約する必要がなく、営業場所を変えながら機動的に販売できるのも大きな魅力です。
自由度が高く、初期費用を抑えたまま“自分のお店”を持てるスタイルとして、若い世代や副業層から注目が集まっています。
キッチンカーが注目されているのには、以下の3つの大きな理由があります。
SNSと相性が良く、集客力が高い
フォトジェニックな見た目や車両デザイン、限定メニューなどはSNSで拡散されやすく、広告費をかけずに話題になる可能性も。移動しながらファンを作れるという、現代らしいマーケティングの形です。
「屋台」「露店」「ケータリングカー」なども移動販売の一種ですが、キッチンカーとは明確な違いがあります。
屋台や露店は、テントや仮設設備を使って調理・販売を行う形態で、自治体によっては営業可能な日数や場所が限定されます。衛生設備も簡易的な場合が多く、許可条件もキッチンカーより厳しいケースもあります。
一方、ケータリングカーは、すでに調理済みの商品を運搬・提供するスタイルが多く、「その場で調理する」ことは基本的に想定されていません。
キッチンカーは、あくまで“店舗型”として現地調理を行い、調理内容に応じた営業許可を取得する必要があるため、設備・手続き・許可内容が異なってくるのです。
「キッチンカーを始めたい」という気持ちはあるものの、実際に何から手をつければいいのか分からず、立ち止まってしまう方は多くいます。
SNSや動画で見かけるキッチンカーは手軽で自由に見えるかもしれませんが、現実はもう少し複雑です。
たとえば、どんな料理を出すか、どこで営業するか、車両は購入かレンタルか、設備は何が必要か…といった要素がすべて絡み合ってきます。
特に初めての開業では、「車を買えばなんとかなる」「とりあえずイベントに出せば売れるだろう」といった楽観的なスタートが、あとになって「許可が下りない」「設備が足りない」「利益が残らない」といったトラブルにつながるケースも少なくありません。
実はこの段階でつまずく人の多くは、“何が分かっていて、何が分かっていないか”が整理できていない状態。
キッチンカーは確かに魅力的なビジネスですが、それを実現するには「順番」と「情報整理」が不可欠なのです。
キッチンカーは“低予算で始められるビジネス”という印象がありますが、実際は想定以上に費用がかかる場合も。車両代、改装費、調理設備、営業許可取得費、保険、備品など、細かい支出を合算すると200〜350万円前後になることもあります。
「とりあえず100万円で始められるだろう」と甘く見ていた結果、途中で資金が足りなくなって断念…という失敗例も少なくありません。全体像を把握し、必要な予算をあらかじめ整理することが重要です。
営業許可や車両のナンバー登録等、法律面の手続きはキッチンカーならではの難しさがあります。たとえば、地域によって保健所の基準が異なったり、「4ナンバー」か「8ナンバー」かによって必要な装備や検査も変わります。
また、調理内容によっても許可の種類が違うため、自分のやりたい業態に合った手続きを調べておかないと、後々営業できなくなるリスクも発生します。
さらに、食品衛生責任者の資格や自治体・イベントへの出店利用許可などを取得する必要があります。情報が散らばっているからこそ、最初に調べるべきチェックポイントを明確にする必要があります。
「本当に稼げるの?」という収益性への不安もよく聞かれます。キッチンカーの売上は立地やイベントの有無に大きく左右され、安定収入を得るには出店戦略が不可欠です。たとえばイベントでは日売上5〜10万円を見込めますが、平日は3万円以下というケースもあります。さらに仕入れやガソリン代などのコストを差し引くと、手元に残る利益は思ったより少ない…という声も。
重要なのは“どこでどれだけ売れるのか”と“固定費を抑える工夫”を両立させることです。
このように、実は「店舗を持たない分、やることが多い」のがキッチンカーのリアルです。
キッチンカー開業にかかる初期費用は、事業規模や車両タイプによって大きく異なりますが、以下のようなイメージです。
合計すると約200〜350万円前後。ただし、新車や冷蔵・冷凍設備が必要な場合は500万円を超えることもあります。 また、補助金制度やリース、シェアキッチンとの併用でコストを抑える方法もあるため、地域の制度やプランを事前に確認しておくと安心です。
収益性の見込みを立てるには、1日の売上と経費をしっかり計算する必要があります。以下は営業場所別の売上と利益率の一例です。
利益は売上の30〜50%が目安。売上を安定させるには、出店場所の戦略とリピート率を高める仕掛け(SNS・メニュー開発)がカギとなります。
一方で、原価率や人件費を見誤ると、売上があっても赤字になるケースもあります。収益の“現実”を把握しておくことで、無理のない計画が立てられるのです。
行き当たりばったりの開業は、失敗のリスクが高まります。そこで重要なのが、自分の「現状」を整理することです。 以下のようなシートを作成してみるのもおすすめです。
自分の希望と制約条件を見える化することで、車両選びや出店場所の優先順位も自然と見えてきます。
情報が散らばっていると「やる気があるのに動けない」という状態になりがちです。だからこそ、“順番”と“選択肢”を一覧化して整理しましょう。
情報整理ができると、やるべきことの優先順位も明確になり、「今はこれをやればいい」と思考がシンプルになります。
キッチンカーは、場所に縛られず、自分のペースで飲食ビジネスを始められる新しい選択肢です。自由度が高く、初期投資も比較的抑えられることから、副業や独立を目指す人たちの間で注目を集めています。
ただし、魅力ばかりに目を向けて準備不足のまま始めると、「営業許可が取れない」「費用がかさむ」「思ったより売上が立たない」など、思わぬ落とし穴にはまりかねません。
特に重要なのは、「自分がやりたいスタイル」「使える予算」「出店場所や営業時間帯」といった情報を早めに“見える化”すること。これができるだけで、キッチンカー開業の成功確率はぐっと高まります。