mPOSは、スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールするだけで使えるPOSシステムです。
その手軽さから、飲食店や小売店、エステサロンや美容室、クリニックなど、小規模ビジネスを中心に導入が進んでいます。
簡単に売上管理や在庫管理ができるだけでなく、周辺機器との連携によってキャッシュレス決済に対応することも可能です。
本記事では、mPOSを導入するメリットや使い方について解説していきます。
mPOSとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に専用のアプリをインストールして使うPOSシステムです。
マルチ決済端末などの周辺機器と連携することで、クレジットカード決済やQRコード決済など、キャッシュレス決済に対応することもできます。
従来のターミナル型のレジのように大型の機器を設置する必要がなく、設置場所を選ばないため、店内のどこでも決済することができます。また、インターネット環境があれば屋外でも利用可能。キッチンカーやイベント会場でも活躍します。
詳しくは後述しますが、mPOSのメリットとして大きいのは、初期費用が安く、手軽に導入できることです。
少ない初期投資で、業務効率化を実現できます。
mPOSの「m」は「mobile」の略。
つまり、「移動可能」「持ち運びできる」という意味です。
mPOSの「POS」は「Point of Sales」の略で、日本語では「販売時点情報管理」と訳されるのが一般的です。
その名のとおり、場所を選ばずに使えるレジで、売上情報や在庫情報をリアルタイムで管理できることが最大の特徴です。
近年は、従来のターミナル型レジからmPOSレジへと移行する店舗が増えており、新規開業の店舗もmPOSを導入するところが多くなっています。
スマートフォンやタブレットの普及はもちろん、キャッシュレス決済の普及や非接触決済のニーズが高まっていることも、mPOSが広まる大きな要因になっています。
経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%となっており、ここ数年では、特にQRコードやバーコードなどのコード決済を利用する人が急増しています。
マルチ決済端末などの周辺機器と連携することでキャッシュレス決済に対応できるのも、mPOSの魅力の一つだと言えるでしょう。
※参考:2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329006/20240329006.html
mPOSの主要機能としては、以下のような機能が挙げられます。
①レジ機能
mPOSのレジ機能は、従来のレジと同様に、商品のバーコードをスキャンすることで金額を計算し、会計処理をする機能です。スマートフォンやタブレットの画面上で、直感的な操作でレジ業務を行うことができます。
②売上管理機能
mPOSの売上管理機能は、リアルタイムで売上データを管理できる機能です。日別、商品別、時間帯別など、様々な観点で売上データを分析することもできるため、商品構成や販促戦略の見直しにも役立ちます。
③在庫管理機能
mPOSの在庫管理機能は、バーコードをスキャンすることで商品の入出庫を自動的に記録し、リアルタイムで在庫数を把握できる機能です。品切れや過剰在庫を防ぎ、適正在庫を維持しやすくなります。
④顧客管理機能
mPOSの顧客管理機能は、顧客の購買履歴や購買頻度、年齢、性別などを記録・管理できる機能です。購買履歴や購買頻度を分析することで、一人ひとりの顧客によりパーソナライズされた提案が可能になります。
mPOSはその手軽さと柔軟性から、以下のように様々なシーンで利用されています。
①移動販売
キッチンカーや屋台など、移動販売の業態では、mPOSのコンパクトさや機動性が活かされます。
②イベント販売
イベント会場やマルシェなど、一時的な販売においても、mPOSはスピーディーな決済を可能にします。
③飲食店
テーブルオーダーやハンディオーダーと組み合わせることで、よりスマートなオーダーが可能になります。店舗の前などでテイクアウト販売を行うときも、mPOSが役立ちます。
④美容室やネイルサロン、エステサロンなど
お客様を立たせることなく、その場で会計をすることができます。
⑤小売店
モバイル端末で使うmPOSなら、店舗のスペースを邪魔することがありません。
その他、出張サービスや配達サービスでは、お客様の自宅やオフィスで決済ができます。タクシーでも、車内での決済が可能。ホテルやクリニックなど、様々な施設でmPOSが活躍しています。
mPOSが広く普及している背景には、モバイル端末の普及やクラウド技術の進化などがあります。スマートフォンやタブレットは日進月歩で高機能化しており、mPOSを使うのに必要な機能を備えた端末が手軽に入手できるようになりました。
クラウド技術の進化により、データの保存・共有が容易になりました。
加えて、暗号化技術や多要素認証などのセキュリティ対策も進化しており、mPOSのようなクラウドサービスを安心して利用できる環境が整備されています。
また、上述のとおり、キャッシュレス化の加速もmPOSの普及を後押ししています。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに非接触決済のニーズが高まり、キャッシュレス決済が一般化していきました。
消費者が現金を持ち歩かなくなっている今、機会損失を防ぐためにキャッシュレス決済に対応する店舗が増えています。
mPOSは、クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済など、様々なキャッシュレス決済に対応できることから広く普及していきました。
インターネットの普及やクラウドサービスの進化により、少ない初期投資で起業しやすい時代になりました。
特にAIの進化は著しく、AIツールを導入することで少人数でも事業を運営しやすくなっています。
起業を促進するための助成金や融資制度が整備されていることもあり、ひと昔前に比べると、自分でビジネスを起ち上げるハードルは大きく下がりました。
こうした時代の変化から、昨今は業種・分野を問わず小規模ビジネスが増加しています。
そして、小規模ビジネスと相性が良いツールとして注目されているのがmPOSです。mPOSは専用の機器を購入する必要がなく、初期投資を抑えて導入することができます。
また、店舗の成長に合わせて機能を拡張するのも簡単です。
mPOSを使用する際の一般的な手順は以下のとおりです。
①mPOSサービスの選定
まずは、自店舗に合ったmPOSサービスを選定することです。mPOSサービスを選ぶときは、以下のようなポイントをチェックするようにしましょう。
・初期費用・ランニングコストは予算の範囲内か?
・必要な機能・周辺機器があるか?
・導入後のサポート体制は充実しているか?
・キャッシュレス決済に対応する場合、どのようなブランドに対応しているか?決済手数料はどのくらいか?
②専用アプリのインストール
mPOSサービスを決定したら、契約を締結し、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に専用アプリをインストールします。
③周辺機器の接続
専用アプリをインストールしたら、カードリーダーやマルチ決済端末、レシートプリンターやキャッシュドロアなど、必要な周辺機器を接続します。
④初期設定・スタッフ教育
mPOSアプリの初期設定を行います(詳しくは後述します)。また、必要に応じてマニュアルを用意し、スタッフに使い方をレクチャーします。
⑤決済開始
mPOSを使った決済業務を開始します。
mPOSを使い始める前に、初期設定をする必要があります。一般的に、初期設定は以下のような流れで行います。
①mPOSアプリのインストール
mPOSのアプリを、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末にインストールします。
②アカウント作成
アプリを開き、自店舗のアカウントを作成します。
③各種設定
以下のような設定を行います(設定内容はmPOSサービスによって異なります)。
・店舗名や住所、電話番号など、店舗の基本情報を登録します。
・店舗で販売する商品の名称、価格、在庫数など、商品情報を登録します。
mPOSサービスを選ぶ際は、以下のポイントを確認するようにしましょう。
①機能
mPOSは売上管理機能や在庫管理機能、顧客管理機能などを備えていますが、サービスによって「何をどこまでできるのか?」は変わってきます。自店舗がやりたいことができるかどうかを必ず確認しましょう。また、キャッシュレス決済に対応する場合は、クレジットカード決済、デビットカード決済、電子マネー決済、コード決済の各決済が、それぞれ「どのブランドに対応しているか?」「決済手数料はどのくらいか?」を確認しましょう。自店舗のECサイトや会計ソフトなど、既存のシステムと連携できるかどうかを確認することも重要です。
②操作性
ユーザーインターフェースが優れており、スタッフが直感的に操作できるかどうかを確認しましょう。可能であればデモ版を使わせてもらい、使い心地を評価しましょう。
③セキュリティ対策
セキュリティ対策が徹底されているかどうかを確認しましょう。
④コスト
オプションや周辺機器も含め、初期費用とランニングコストが予算の範囲内に収まるか確認しましょう。
⑤サポート体制
導入後のサポート体制が充実しているかどうかを確認しましょう。
mPOSサービスを選ぶうえで、機能の選定は非常に重要です。自店舗の課題を解決でき、ニーズを叶えられる機能が備わっているかどうかを確認しましょう。たとえば、次のような選び方が考えられます。
・詳細な売上分析をしたい場合は、レポート機能が充実しているmPOSや、会計ソフトと連携可能なmPOS
・顧客のリピート率向上を図りたい場合は、ポイントカード機能やクーポン機能があるmPOS
・屋外イベントや移動販売を行う店舗は、通信の安定性が高いmPOSやオフラインでも使用可能なmPOS
・キャッシュレス決済を強化したい場合は、多種多様なキャッシュレス決済に対応しているmPOS
・キッチンとの連携ミスを防ぎたい場合は、セルフオーダーと連携できるmPOS
mPOSのメリットとしてよく言われるのが以下の4点です。
①導入コストが比較的安価
mPOSはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を利用するため、レジ本体を購入する必要がありません。周辺機器は必要になりますが、それでも従来のレジに比べると初期費用を安く抑えることができます。
②直感的に操作できる
mPOSは、スマートフォンやタブレットのアプリとして提供されるため、直感的な操作が可能です。比較的早く慣れるので、スタッフの教育にかかる時間やコストを抑えられます。
③店舗の雰囲気を損なわない
mPOSは、スマートフォンやタブレットをレジ本体として使用するため、店舗の雰囲気を損ないません。
④スムーズな会計処理ができる
mPOSは店内のどこでも決済できるため、スムーズな会計処理を実現できます。
mPOSはその手軽さゆえ、導入店舗が増加しています。
上述のとおり、初期費用を安く抑えられるため、新規開業する店舗や個人事業主の方でも導入しやすいという利点があります。
基本的には、スマートフォンやタブレットにアプリをインストールするだけで使えるので、導入までの時間も短く済みます。
また、従来のターミナル型のレジのように場所を取らないので、どこにでも簡単に設置できます。
レジの場所を固定する必要もなく、キッチンカーなどの移動販売やイベント出店にも最適です。
加えて、柔軟性に優れているのもmPOSの利点です。
最低限の機能で導入し、店舗の成長に合わせて、機能を拡張していくという使い方も可能です。
mPOSには様々なメリットがありますが、導入にあたって認識しておきたい注意点もあります。
①安定したインターネット環境が必要
インターネット環境が不安定だと、mPOSでの決済処理が遅延したり、エラーが発生したりしてレジ業務に支障が出る可能性があります。
②OSのバージョンアップによって不具合が起きる可能性がある
スマートフォンやタブレットのOSをバージョンアップすると、mPOSアプリが正常に動作しなくなる可能性があります。
③セキュリティリスクがある
セキュリティ対策が不十分なmPOSは、不正アクセスを受け、情報漏洩が起きるリスクが高くなります。
④端末の充電切れのリスクがある
mPOSは端末のバッテリーがなくなると、決済処理ができなくなります。
mPOSはクラウドサービスとして提供されるため、安定したインターネット環境が不可欠です。
ネットワークが不安定になると、mPOSの決済処理が遅延したり、中断したりすることがあります。
その結果、顧客の待ち時間が長くなると、満足度が低下したり、クレームにつながったりするおそれがあります。
また、ネットワークが不安定だと、mPOSの売上データや在庫データを同期できず、リアルタイムで情報を得られなくなります。
正確な売上状況や在庫状況が分からないと、的確な意思決定ができなくなる可能性もあります。
こうしたリスクを回避するためには、高速で安定したインターネット回線が欠かせません。
また、オフラインでも使えるmPOSなら、ネットワーク障害が起きたときや、キッチンカーや屋外イベントで販売するときも安心です。万が一のデータ消失に備え、定期的にバックアップを取っておくことも大切です。
mPOSを導入することで、業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上や売上アップなど、店舗や施設に様々なメリットがもたらされます。店舗・施設の運営を成功へと導くため、ぜひ、mPOSの導入をご検討ください。
CASHIER(キャッシャー)は、初期費用0円 or 月額費用0円から簡単に導入できるクラウドPOSシステムです。
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