レジ対応の際に、お客様から「領収書をください」と求められて戸惑うスタッフは少なくありません。「レシートと何が違うのか」「どんな内容を記載すべきなのか」など、意外と知られていないポイントは多いです。
そこで本記事では、領収書の基本から発行方法、書き方の注意点などを解説します。さらに、領収書発行を効率化するPOSレジも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
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【今回のコラムをざっくりまとめると…】
レジでの領収書発行は、店舗運営において重要な業務のひとつです。改ざん防止や証拠としての有効性を確保するために、正確に発行する必要があります。POSレジを使えば、ミスなく簡単に領収書を発行できます。領収書対応をスムーズに行いたい方は、ぜひ参考にしてください。
領収書とは、金銭や有価証券を受け取った際に発行する「受取書」の一種です。日常的な買い物やサービスの利用だけでなく、ビジネスの現場では経費精算や確定申告の際に必須となるケースも多くあります。
つまり領収書は、支払いが行われた事実を証明するための重要な書類です。
ここでは、領収書の基礎知識として以下の内容を解説します。
国税庁によると、領収書を以下のように定義しています。
“金銭または有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。”
引用元:国税庁|No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書
つまり領収書とは、金銭や有価証券を受け取ったことを証明するために発行される書類です。受け取った側が支払った側へ交付するもので、取引の事実を証明する「受取書」の一種といえます。
税務上では、経費として計上する際に「この支払いが正しく行われたものである」と証明する役割を果たし、確定申告や決算時に欠かせません。領収書は、取引の透明性と正当性を保証する重要な書類なのです。
領収書とレシートはいずれも「支払いを証明する書類」ですが、記載内容には大きな違いがあります。具体的には、商品詳細の記載と宛名の有無です。
商品の詳細 | 宛名 | |
領収書 | 記載する | 記載しない |
レシート | 記載しない | 記載する |
レシートは、レジから自動的に印字される書類で、取引日時・品目・数量・金額などの取引明細が記載されます。一方で領収書は、商品の取引明細は記載されず、宛名や但し書きが記載されます。
また、レシートは「一般的な購入記録」、領収書は「公的に効力を持つ証明書類」という違いがあるため、用途に応じて正しく使い分けることが重要です。ただし、レシートの中には宛名を記入できる欄が設けられており、必要事項を記載すれば領収書と同等の証明書として利用できます。
実は、レシートと領収書は同時に渡してはいけません。両方を渡してしまうと、1回の取引にもかかわらず2回取引したように扱われ、「二重計上」などの不正利用につながる恐れがあるためです。
たとえば、経費精算や確定申告の際に領収書とレシートを別々に提出されると、実際の支出以上に経費を計上できてしまいます。その結果、本来納めるべき税金よりも少なくなってしまうのです。
さらに、その不正行為の責任をレシートと領収書を発行した店舗側にも追求される可能性もあります。そのため、店舗ではどちらか一方のみを発行するのが一般的です。
宛名や但し書きなどが必要な場合は領収書を発行し、その際はレシートをお客様に渡さず回収することが正しい対応とされています。
法人において領収書は、会計帳簿の一部として事業年度の確定申告書提出期限の翌日から「原則7年間」保存する義務があります。領収書の保存は、税務調査や会計監査に備え、取引の正当性を証明するために必要とされているものです。
ただし、青色申告をしている事業で赤字(欠損金)が出た場合などは、原則として10年間保存が必要なケースもあります。また、保存は紙のままでも可能ですが、電子帳簿保存法に基づいて電子データで管理する方法も認められています。
電子保存を行う場合は、可視性や改ざん防止措置など一定の要件を満たさなければなりません。適切な保存方法を選び、法令に沿った管理を行うことが店舗経営においては重要です。
領収書の発行方法は、手書き・簡易レジの場合とキャッシュレス決済の場合とでは異なります。いずれも取引の証明として正しく処理する必要があるため、それぞれの発行手順を理解し、状況に応じて適切に対応することが大切です。
ここでは、手書き・簡易レジとキャッシュレス決済の領収書発行の手順を解説します。
手書き・簡易レジで領収書を発行する場合の手順は以下のとおりです。
発行の際は、記載漏れや押印忘れなどの不備がないように注意し、不明点があれば他のスタッフに頼るようにしましょう。
キャッシュレス決済では、決済端末と連携したPOSレジなどで領収書を発行するのが一般的です。POSレジを利用している場合、画面操作だけで簡単に領収書を発行できるため、現金会計に比べてスムーズです。
しかし、クレジットカードと電子マネー・QRコード決済とでは、対応方法が異なります。
対応方法 | 注意点 | |
クレジットカード | 金銭のやり取りを行わないため、通常の領収書は発行されない。レシートやクレジットカードの利用明細書を領収書代わりにする | ・クレジットカードを利用したことが明確にわかる但し書きが必要 ・インボイス利用の場合はインボイス番号を領収書に記載する |
電子マネー・QRコード決済 | 現金と同じ方法で領収書を発行 | ・後払いのポストペイ型はクレジットカード同様、領収書の発行は不要 ・発行する際は電子マネー・QRコード決済であることがわかる但し書きが必要 |
なお、電子領収書は、サービスごとに保存方法や表示形式が異なります。そのため、発行前に必ず各サービスの利用ガイドを確認し、適切に対応できるよう準備しておきましょう。
領収書は、取引の証拠となる重要な書類です。正しく発行・記載されていないと、経費として認められなかったり、税務上のトラブルにつながったりする可能性があります。
ここでは、領収書に必ず記載すべき項目や、注意点を解説します。
領収書を正しく発行するためには、法律上有効と認められるための「必須記載事項」を漏れなく記入することが重要です。これらが欠けていると、経費として認められなかったり、税務調査時に追求されたりする可能性があります。
以下に記載事項とその書き方を解説します。
記載事項 | 内容 |
日付 | 代金を受け取った日付を年月日で正確に記入(※和暦・西暦どちらでもOK、省略はNG) NG例:R8年1月1日、26/1/1 |
宛名 | 領収書を受け取る側の氏名や企業名を正式名称で記載する |
金額 | 受け取った代金を税込金額で記載する ※3桁ごと「,」を打つ、金額の先頭には「¥」または「金」と記載する、金額の末尾に「※」「-」「也」のいずれかを記載する |
但し書き | 提供した商品やサービスの内容を具体的に記載する。語尾には「として」を付けて追記による不正を防ぐ ※軽減税率が適用されるものは「軽減税率対象」の旨も記載する 良い例:食事代として(軽減税率対象) |
適用税率・税率ごとの消費税額 | インボイス制度に対応する場合は以下の3点を記載する ・適用税率(10%または8%) ・税率ごとに合計した対価の額(税抜きまたは税込みのいずれでも可) ・税率ごとに合計した消費税の額 |
発行者住所氏名 | 発行者の個人名や店舗名・企業名、住所を記載。インボイス発行事業者は登録番号も記載 |
収入印紙 | 税抜で5万円以上の場合は収入印紙を貼付 ※クレジットの場合は必要なし |
領収書は金銭授受を裏付ける重要書類です。改ざん防止や証拠としての有効性を確保するために以下のような注意点があります。
注意点 | 内容 |
控えの保管 | ・発行した領収書の控えは、必ず保管しておく必要がある ・紙の控えではなく電子データでの保管も可能 |
宛名の記載 | ・宛名は正確に記載し、省略せずに正式名称で記載する ・「空欄」または「上様」などの記載は、認められない場合があるため注意が必要 |
印鑑 | ・領収書には社判や個人印を押印することが一般的である ・印鑑は、その領収書が正式に発行されたものであることを示す証拠となる |
不正防止のために「¥」「ー」を使う | 金額の改ざんを防ぐため、金額の頭に「¥」または「金」をつけ、末尾には「※」「-」「也」などの記載を推奨 |
書き間違えた場合 | ・領収書を書き間違えた場合は、新しい領収書を再発行する ・金額以外の訂正は二重線で訂正し、訂正印を押す ・修正液や修正テープの使用は原則NG |
ここまで領収書発行の書き方や注意点を解説してきましたが、手書きで書くのは少し手間に感じるでしょう。POSレジを導入すれば、領収書発行の手間を大幅に削減でき、店舗運営の効率化に直結します。
ここでは、POSレジで領収書発行する具体的なメリットと、領収書発行できるPOSレジをご紹介します。
POSレジで領収書を発行するメリットは以下のとおりです。
それぞれ解説します。
POSレジを導入するメリットのひとつは、領収書発行が簡単に行える点です。手書きで発行する方法では、慌ててスタッフが記入するケースもあります。そこからミスが生まれることも少なくありません。
POSレジは会計データと連携して自動的に金額・日付などが印字されるため、スタッフは手書き入力の手間や記入ミスから解放されます。混雑する時間帯でもすぐに正確な領収書を発行できるので、お客様を待たせずに対応できる点はメリットです。
インボイス制度が始まったことで、領収書にはこれまで以上に多くの情報を記載する必要が生じました。特に適格請求書発行事業者の登録番号や、税率ごとの消費税額などの記入漏れが多く見られます。
しかしPOSレジなら、会計データをもとに必要事項を自動で反映し、制度に準拠した領収書を簡単に発行することが可能です。複数税率が混在する食品小売業などでも、POSが正確に分類・計算して印字するため、スタッフは安心して業務を進められるようになるでしょう。
ただし、インボイス制度への対応はインボイス発行事業者のみが発行できます。未登録の場合は登録手続きを済ませておきましょう。
手書き領収書では、宛名や但し書きを記入する作業も手間で、誤字脱字や記入漏れといったトラブルも発生しやすいのが現実です。POSレジを導入すれば、取引データをもとに宛名や但し書きを印字でき、手作業の負担を大幅に軽減できます。
たとえば、経費精算に必要な「交通費として」や「接待飲食代として」といった詳細な但し書きも、あらかじめ登録しておけば即時に印字が可能です。お客様に画面上の宛名や但し書きを確認してもらい、入力ミスがあれば発行前に修正できるのもポイントです。
お客様の待ち時間を短縮し、店舗側にとっては人的ミス削減と作業効率化のメリットがあります。
POSレジには、一度の会計を複数の領収書に分けて発行できる機能を備えたものがあります。この機能は、経費を部署ごとや用途ごとに分けたいお客様に特に便利です。
たとえば、10万円の支払いを取引先と自社で双方が分割した領収書を受け取ることができます。従来の手書きでは時間がかかり、誤記のリスクも高まりますが、POSレジなら数回の操作でスムーズに対応可能です。
領収書の発行を効率化するためには、POSレジを導入するのが非常に効果的です。しかし市場には数多くのPOSレジが存在し、それぞれ特徴や強みが異なります。
そのため、自社の業種・店舗規模・必要な機能に合わせて選ぶことが大切です。たとえば「導入コストを抑えたい」「飲食店や美容サロンなど業種特化の機能がほしい」など、目的に応じて最適なレジを検討すると良いでしょう。
以下は、領収書発行に対応できるおすすめPOSレジをいくつかご紹介します。
おすすめPOSレジ | 特徴 |
CASHER | 0円から導入できるPOSレジ。店舗の業種・規模・用途に合わせたオリジナルPOSを作れる。 |
スマレジ | 無料プランで基本機能を利用可能。有料プランに応じて在庫管理や高度な分析など機能を拡張できる。周辺機器のサブスク利用も可能。 |
ユビレジ | タブレット型で直感的に使いやすく、操作性に優れたPOSレジ。初めての導入でも習得が早い。 |
STORESレジ | 店頭販売とネット販売を一元管理できるため、ECを併用する店舗におすすめ。売上や在庫をまとめて把握可能。 |
Airレジ(エアレジ) | 初期費用・月額無料で利用可能。Airペイや会計ソフトと連携して業務の効率化を図れる。 |
レジでの領収書発行は、単なる会計処理にとどまらず、事業運営全体を支える重要な業務のひとつです。しかし、手書きや簡易的な方法では記入漏れやミスが起こりやすく、業務効率も低下しかねません。
そこで有効なのがPOSレジの活用です。POSレジを導入すれば、領収書発行に必要な項目を自動で反映でき、スピーディかつ正確に発行できます。
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