スーパーや飲食店など、人気店ほど悩まされているのが、レジ待ちのお客様による行列です。レジの回転率が落ちて売上に影響するのはもちろん、行列を見たお客様が買い物をせずに帰ってしまうケースもあります。そのような場合に導入を検討していただきたいのがセミセルフレジです。
今回は、セミセルフレジの概要や導入のメリット・デメリット、設置時に利用できる補助金について徹底解説します。
店舗で見かける機会の増えたセルフレジには、大きく分けてセミセルフレジとフルセルフレジの2種類があります。ここでは、セミセルフレジの概要やフルセルフレジとの違いについて解説します。
セルフレジとは、小売店や飲食店で行うレジ業務の一部または全部を、お客様自身に行ってもらうPOSレジのことです。このうち、商品バーコードの読み取りは従来通り店員が行い、会計作業はお客様が行うレジをセミセルフレジと呼びます。
多くのセミセルフレジは、レジと自動精算機が別で設置されているのが特徴です。お客様は、スタッフに商品バーコードを読み込んでもらった後、商品カゴを受け取り、自動精算機を操作してお金を支払います。
フルセルフレジは、セルフレジのうちお客様がレジ業務の全部を行うタイプのレジを指します。具体的には、商品バーコードの読み取りから決済方法の選択、支払いまでをお客様自身が行います。また、レジ端末と精算機が分かれておらず、1台ですべてレジ操作を行えるのもセミセルフレジとの違いです。
セルフレジについてはこちらの記事でも解説しています。
参考記事:セルフレジとは?概要からメリット・デメリットを分かりやすく解説
コンビニ大手のセブンイレブンでは、2020年9月からセミセルフレジを導入しています。顧客は手元のセルフ精算機を操作して決済方法を選び、現金やカード、QRコードなどで支払います。
また、総合スーパーのイオンでもセルフレジを導入済みです。レジ担当者は商品のスキャンのみに注力できるため、業務効率化につながっています。一部の店舗ではフルセルフレジの導入も進んでいるようです。
セミセルフレジの導入は、店舗運営にどのような効果を与えるのでしょうか。こちらでは、セミセルフレジの導入メリットを解説します。
セミセルフレジでは、バーコードの読み取りをプロのスタッフが行うため、スキャン作業に慣れていないお客様でもスムーズに会計を終えられるのがメリットです。フルセルフレジの欠点である、「バーコードの読み取りができずにレジ待ちの行列を作ってしまう」といったトラブルを減らせます。また、レジ袋の確認なども店員が行ってくれるため、セルフレジを使用する際の心理的なハードルを下げる効果も期待できます。
セミセルフレジを導入すると、店員が釣銭を計算する必要がなくなります。商品の金額と支払額をもとに自動釣銭機がお客様に釣銭を返却するためです。精算時の釣銭の渡し忘れや計算ミスを減らすことができ、レジ締めの際に金額が合わない事態を防止できます。
多くのセミセルフレジには、キャッシュレス決済機能が搭載されています。そのため、現在現金やクレジットカードのみに対応している店舗でも、速やかにその他の決済方法を導入できます。各種キャッシュレス決済に対応していれば、年代を問わず利用しやすい店舗になるでしょう。
セミセルフレジの導入によってレジ業務の簡略化が可能なため、少ないスタッフで業務を回せるようになり、人員や人件費の削減に役立ちます。店舗運営にかかる経費を節約でき、利益率の向上につながるでしょう。
セルフレジの設置された店舗では、店員とお客様の間でお金の受け渡しが行われないため、衛生面が向上します。特に、新型コロナウイルスの影響で非接触での接客を好む方が増えており、お客様からの印象アップが期待できます。
このように、セミセルフレジの導入は店舗とお客様の双方にメリットがあります。
セミセルフレジを導入する際は、通常の有人レジとは異なる点に注意する必要があります。こちらでは、セミセルフレジ導入のデメリットを解説します。
セミセルフレジの導入によって店員を減らすと、万引きや支払い漏れなどの犯罪が増加するおそれがあります。防犯カメラやセンサータグ、防犯ゲートなどを設置し、セキュリティ対策に力を入れていることを外部にアピールする必要があるでしょう。
自動精算レジも機械である以上、故障などのトラブルが発生するリスクは避けられません。特に硬貨を扱う精算機の場合、部品の消耗によって故障しやすいとされます。
そのため、セミセルフレジを導入する際は、設置後のメンテナンスやフォロー体制が充実している会社を選ぶのがおすすめです。トラブル発生時に迅速に対応することで、顧客の利便性低下を防止できます。
セミセルフレジの設置には、導入費用や運用コストがかかります。セミセルフレジは、レジと自動精算機の2台を設置する必要があるため、フルセルフレジと比較してコストが高くなる傾向にあります。セミセルフレジを導入する際は、自社の課題と必要な機能を厳選しておき、コストパフォーマンスを考慮することが大切です。
セミセルフレジは、決済作業をお客様に任せることになるため、慣れていない方が困ってしまう可能性があります。精算機の操作方法を説明するスタッフを常駐させたり、通常のレジと併設したりなど、初めての方でもスムーズに利用できる方法を検討しておきましょう。フォローが不十分だと顧客満足度の低下につながる可能性があります。
店舗にセミセルフレジを導入する際は、以上の点に注意する必要があります。
セミセルフレジを導入する際にネックとなりやすいのが、導入コストです。運用のメリットは理解しているものの、コストを理由に設置を躊躇しているケースもあるでしょう。そこで次は、セミセルフレジを店舗に導入する際に利用できる補助金や助成金をご紹介します。
なお、詳細な受給条件や申請方法等は公式ホームページをご確認ください。
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者向けの制度です。セルフレジをはじめとした機械設備の設置によって業務効率化を実現し、従業員の賃金を一定以上引き上げた場合に、導入にかかった費用の一部を支援してもらえます。
【業務改善助成金】
業務改善助成金のページ
IT導入補助金は、企業が抱える課題解決に向けて、ITツールを導入する際の資金の一部を援助する制度です。労働生産性の向上に役立つITツールであれば補助対象となるため、セミセルフレジの導入でも支援を受けられる可能性があります。
【IT導入補助金】
IT導入補助金のページ
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者をターゲットとした補助金制度です。販路拡大や業務効率向上への取り組みに必要な資金の一部を援助してもらえます。定期的に公募しているものの、受付スケジュールが細かく決められているため、応募する際は期限までに確実に手続きを行いましょう。
【小規模事業者持続化補助金】
小規模事業者持続化補助金のページ
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が、変化するビジネスシーンに対応するための設備投資費用等を支援する制度です。セミセルフレジの導入は、非接触での接客や多様化する決済方法への対応などを目的としているため、支援を受けられる可能性があります。
【ものづくり補助金】
ものづくり補助金のページ
セミセルフレジは、お客様自身に会計をお任せするシステムです。導入によってレジ待ちの解消や人件費の削減などの効果が期待できます。
しかし、導入コストやセキュリティ面などの課題もあるため、メリットやデメリットを比較した上で導入を検討することが重要です。費用感が気になる場合は、セミセルフレジの提供会社に問い合わせ、見積もりを依頼してみてはいかがでしょうか。