ECサイトの利便性と実店舗の魅力をかけ合わせた「ショールーミング」をご存じですか?ショールーミングの対策を実施することで、商品を購入してもらえる機会の増加につながり、それに伴い売り上げの拡大にも期待できます。
そこで本記事では、ショールーミング対策の方法、ショールーミング対策の成功事例を解説します。最後までご覧になることで、自社の店舗にショールーミング対策を実施できるはずです。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、ショールーミングの基礎知識と小売業界における影響について説明されています。ショールーミングは、顧客が実店舗で商品を確認し、オンラインで購入する行動を指します。この現象が店舗に与えるマイナス影響と、その対策としてオンラインとオフラインを統合する「OMO」戦略や、独自の購買体験を提供する重要性が強調されています。各店舗の対応策が競争力を左右する可能性があります。
ショールーミング(Showrooming)とは、実店舗でショールームのように商品の確認をしたあと、インターネットを用いて商品を安価で購入する消費者行動のことです。このショールーミングでは、実際に商品を確認できる実店舗のニーズと、安価で効率的に購入できるECサイトにおけるニーズの両方を満たします。 近年、スマートフォンやオンライン化の普及に伴い、このショールーミングは日本だけでなく世界各国で広がっています。「トランスコスモス株式会社」がアジアの10都市で調査した結果によれば、ショールーミングの利用経験がある人の割合は東京で62%、ほかの都市に至っては80%を超えています。 このように、ショールーミングは世界各国から注目されている画期的なシステムです。
ショールーミングと似た言葉で「ウェブルーミング」という言葉があります。このウェブルーミング(Webrooming)とは、インターネット上で商品の情報を調べたあと、実店舗で商品を購入する消費者行動のことを指します。つまり、ショールーミングとは真逆の意味を持つ言葉なのです。 統計データにおける両者の比率は、ショールーミングを利用している人は43%、ウェブルーミングを利用している人は69%でした。この統計データからわかるように、実店舗で購入する消費者のほうが多い傾向にあります。なお、ウェブルーミングを利用する理由は下記のようなものがあげられます。
インターネット上での商品購入が普及しているとはいえ、「実店舗で購入したい」というニーズはまだまだ十分にあります。
ショールーミングの基礎概要は大まかに理解できたでしょうか?続いて、ショールーミング対策の必要性について解説します。 先ほど、オンライン上で購入するショールーミングよりも、実店舗で購入するウェブルーミングのほうが利用人数は多いと解説しました。しかし、ショールーミング対策をしなくても良い理由にはなりません。 ショールーミング対策をすることにより、商品を購入してもらえる機会の増加につながります。つまり、ショールーミングをうまく活用すれば、売り上げの拡大にも十分期待できるのです。 お客様の購買行動は時代とともに変化しているほか、お客様によって購入する方法や場所、媒体などが異なります。それらすべてのお客様に対応するためにも、ショールーミング対策を行い、消費者行動に対する最適化を図りましょう。
ショールーミング対策の必要性がわかったところで、実施する方法についてみていきましょう。今日から始められる身近なショールーミング対策も解説するため、導入予定の方はぜひ確認してみてください。
ショールーミング対策1つ目は、店舗内で情報提供を行う方法です。お客様に有益な情報を提供することで満足度が高まり、実店舗の利用頻度の増加につながります。 仮に、ECサイトと店舗価格を比較して不利になる状況であっても、情報の付加価値を設けることで、実店舗を選んでもらえる可能性が高まります。結果として、自社サイトやオンラインでの購買に誘導することも可能です。
オンラインにこだわりすぎないで、実店舗ならではの顧客体験を提供するのも1つの方法です。大手ネットショップでの商品購入は効率が良く、お客様にとっての利便性も非常に優れています。 しかし、商品のコーディネートや接客でのアドバイス、最適な商品提供などは実店舗ならではの魅力です。また、接客でお客様を楽しませるようなサービスも、オンライン上では困難です。 上記のような顧客体験を提供することで、ほかの店舗との差別化につながり、購買意欲を向上させる効果に期待できるでしょう。
ショールーミング対策3つ目は、O2Oを展開して実店舗に誘導する方法です。O2Oとは、インターネット上で情報を発信し、集めた見込み客をオフラインの実店舗に誘導して購買を促すマーケティング施策のことです。ショールーミングを推進させる方法としては非常に有効です。 具体的な取り組みとしては、店舗アプリやSNS発信、会員管理システム、クーポン配布、メルマガなどがあげられます。定期的にお客様とコンタクトを取ることで、ショールーミングにつなげることが可能です。
オムニチャネル戦略を実施する方法も、ショールーミング対策として有効です。オムニチャネル戦略とは、企業とお客様の接点となるチャネルを連携させ、お客様に商品をアプローチするための戦略のことです。 オムニチャネル戦略の実施は、実店舗とネットショップを切り分けるのではなく、それぞれが購買につながる接点として捉えられます。 例えば、商品を買いに実店舗へ来て在庫がなかったとします。そんなとき、代わりにネットショップを利用して商品を購入できたり、ネットショップで購入した商品を店舗で受け取ったり、お客様の購買行動に合わせて柔軟な対応が行えます。 オムニチャネル戦略を実施し、積極的にお客様にアプローチしましょう。
ここまで、ショールーミング対策における方法を解説しました。次に、国内外のショールーミング対策の成功事例を2つ紹介します。ショールーミングのイメージがより明確になるはずです。
ショールーミング対策の成功事例1つ目は、「GU」のスタイリング画像の拡充による「着こなし体験」の提供です。 GUでは、ネット販売と連動したショールーミング型実店舗「GU STYLE STUDIO」を展開しているほか、並行して同店舗内のサービスや機能を充実化させるなど、ショールーミングの効果的な運用を実施しています。 「GU STYLE STUDIO」の仕組みとしては、店舗内の展示されているすべての商品がサンプル品であり、購入する際はアプリを介して郵送するというものです。このサービスでは商品の試着やコーディネート情報、商品情報などを確認できるデジタルサイネージに力を入れており、顧客体験を最大化させています。
2つ目に紹介するショールーミング対策の成功事例は、「ZARA」が始めたネット通販連動のショールーミングストアです。 スペインのファッションブランド「ZARA」は、専用アプリを介して試着予約やEC購入を行えるポップアップストアを開設しました。このストアはECサイトの利便性と実店舗の良さをかけ合わせたことで、EC利用者の獲得につなげるほか、近隣顧客に対して継続的に商品提案を行う役割を生み出しています。 本ストアはQRコードなどを活用したシステムが搭載されており、お客様は気に入った商品のバーコードを読み取って購入するショールーミングストアです。このように、「ZARA」は商品を持ち帰らないECサイトの利便性と実店舗の良さを融合させ、ショールーミング対策を成功させました。
ショールーミング対策の成功事例は把握できたかと思います。最後に、BOPISとショールーミングといった新しい購買スタイルの将来性について解説します。 BOPISとは、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取るシステムのことです。BOPISとショールーミングを掛け合わせることで、さらなる購買意欲の向上につながります。 今後、小売業の実店舗においては、付加価値の提供や店舗の差別化がさらに重要になるため、利便性を高めるBOPISやショールーミングといった新しい購買スタイルの需要は増していくと予想されています。 そのことから、将来的には新しい購買スタイルの普及が加速していくでしょう。実店舗でしか味わえない「顧客体験」を促進するためにも、いまからBOPISやショールーミングの対策を実施しましょう。
本記事では、ショールーミング対策における方法、ショールーミング対策の成功事例を解説しました。 ショールーミングは実店舗でショールームのように商品を確認したあと、インターネットを用いて商品を安価で購入する消費者行動であり、対策することで商品を購入してもらえる機会の増加につながります。 小売業などで「売り上げ拡大のチャンスを掴みたい」と考えている方は、ぜひ本記事で解説したショールーミングを対策していきましょう。 なお、株式会社ユニエイムがご提供する「CASHIER OMO」ではショールーミング対策のほか、セルフレジやスマホレジ、ピックアップ、デリバリーなど、複数のシステムを提供しています。「お客様に新たな購買体験を提供したい」という方は、ぜひ「CASHIER OMO」をチェックしてみてください。