社労士に相談するべき?飲食店・小売を開業する時に依頼できる雇用契約書や保険手続き

社労士に相談するべき?飲食店・小売を開業する時に依頼できる雇用契約書や保険手続き

飲食店や小売店の開業準備を進めていると、仕入れや内装、メニューづくりに意識が向きがちです。ですが実際に営業を始めると、従業員の雇用や社会保険・労務管理といった“お金以外の手続き”が避けて通れません。そこで気になるのが「開業時に社労士は必要なのか?」という疑問です。

社労士は、人事や労務、社会保険の専門家。従業員の入退社に伴う保険手続きや給与計算、就業規則の整備、助成金の申請サポートなど、開業後に直面する多くの業務を任せられます。税理士との違いや、相談すべきタイミングを知っておくことで、無駄なトラブルを防ぎ本業に集中できるようになります。

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【今回のコラムをざっくりまとめると…】

この記事では、開業時に社労士へ依頼するメリットや費用感、依頼フローまでをわかりやすく解説しています。読了後は「自分の店舗に必要かどうか」を判断でき、安心して開業準備を進められるはずです。

目次
1 社労士とは?飲食店・小売の開業にどう関わる? 1.1 社労士は「人」に関するプロフェッショナル 1.2 飲食店・小売店における具体的な役割 2 気になる社労士の主な業務内容 2.1 保険手続きと給与計算 2.2 就業規則・雇用契約とトラブル防止 2.3 助成金活用のサポート 3 社労士と税理士の違い 3.1 税理士は「お金の専門家」 3.2 社労士は「人の専門家」 4 社労士に相談・依頼するメリット 4.1 ミス防止と安心感 4.2 経営者が本業に集中できる 4.3 従業員トラブルを予防できる 5 依頼が有効なケース 5.1 従業員を雇う予定があるとき 5.2 法人化や事業拡大を検討しているとき 5.3 給与計算や労務管理に不安があるとき 6 「社労士は必要ない」とされる理由 6.1 業務が少なく自分で対応できると考える 6.2 労務管理システムや税理士で代替できると思われている 6.3 費用面で負担が大きいと感じられる 7 依頼から契約する流れ 7.1 ①問い合わせ 7.2 ②相談・見積もり 7.3 ③契約 7.4 ④実務スタート 8 費用感の目安 8.1 費用が変動する要因 8.2 無料相談を活用しよう 9 まとめ

社労士とは?飲食店・小売の開業にどう関わる?

開業準備は「内装」「仕入れ」「メニュー・商品」など目に見える準備に偏りがちですが、実際に営業を始める直前に重くのしかかるのが「人を雇う・働かせるための手続きとルール作り」です。ここで頼れるのが社会保険労務士(社労士)です。

社労士は「人」に関するプロフェッショナル

社労士は、人事・労務・社会保険に関する国家資格者で、採用から退職まで従業員のライフサイクル全体を支える専門家です。税理士が「お金(税務)」のプロであるのに対し、社労士は「人(労務)」のプロ。労働契約、社会保険加入、給与計算、就業規則作成といった幅広い分野に関与します。開業者が見落としがちな「人の仕組み」を、法令に則って整えてくれる存在です。

飲食店・小売店における具体的な役割

飲食店・小売業ではアルバイトやパート比率が高く、シフト制や深夜割増、試用期間、短時間労働者の社会保険適用など、現場特有の課題が多くあります。オープン前から雇用契約書や就業規則を整備し、社会保険・労働保険の加入手続きを確実に行うことで、開業直後のトラブルや罰則リスクを回避できます。求人票の書き方ひとつでも誤解やトラブルの原因になるため、社労士が伴走することで安心して事業をスタートできます。

気になる社労士の主な業務内容

社労士の仕事は「開業時の保険手続き代行」だけにとどまりません。従業員を雇用する企業にとって不可欠な 社会保険・労働保険・労務管理・給与計算・規則作成・助成金申請 まで幅広くカバーします。飲食店や小売店では人の出入りが多く、パート・アルバイトの加入条件やシフト制勤務の管理など、専門知識を要する業務が頻発するため、開業前から社労士と連携することがリスク回避につながります。

保険手続きと給与計算

従業員を雇うと、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険といった手続きが必須になります。さらに、給与計算では「残業代」「深夜・休日割増」「社会保険料控除」など複雑な計算が必要です。特に飲食店ではシフト制が多いため、加入要件の判断や残業代算出を間違えるリスクが高まります。社労士に依頼すれば、正確な処理でトラブルを防ぎ、経営者は本業に集中できます。

就業規則・雇用契約とトラブル防止

従業員が10名以上になると就業規則の作成・届出が義務ですが、それ以下でも雇用契約書やルール作りは欠かせません。「試用期間の定め方」「残業や休憩の扱い」などが曖昧だと、後々のトラブルにつながります。社労士が関与すれば、法改正に対応した契約・規則を整えられるため、従業員トラブルを未然に防げます。

助成金活用のサポート

国や自治体の助成金制度は種類も条件も複雑で、申請期限を守らなければ受給できません。例えばキャリアアップ助成金などは、開業初期の人材育成や雇用安定に直結します。社労士は最新情報を把握しており、制度に合った助成金を提案・申請代行してくれるため、資金繰りや人材確保に大きなメリットがあります。

社労士と税理士の違い

「税理士がいれば社労士はいらないのでは?」と考える方は少なくありません。確かにどちらも“士業”で企業の運営を支える専門家ですが、守備範囲は大きく異なります。税理士はお金の流れ=会計・税務を専門にし、社労士は人の流れ=労務・社会保険を専門に扱います。開業初期の段階では、両者の役割を理解して組み合わせることで、店舗運営の安心感が大きく変わります。

税理士は「お金の専門家」

税理士は、決算・確定申告・税務書類作成・節税対策など、会社のお金に直結する部分をサポートします。給与から天引きする所得税や年末調整なども対応可能で、経理・財務に強いのが特徴です。しかし社会保険や労務管理は専門外で、手続きの代行や従業員トラブルへの対応はできません。

社労士は「人の専門家」

一方で社労士は、雇用契約書や就業規則の整備、社会保険・労働保険の手続き、労務トラブルの予防や解決を担います。例えばアルバイトのシフト管理から発生する残業代の算定、パート従業員の社会保険加入要件の判断などは社労士の専門分野です。税理士と社労士を併用することで、「お金」と「人」の両面をバランスよくカバーできます。

社労士に相談・依頼するメリット

手続きや計算は一見すると自分でもできそうに思えます。しかし、実際には専門知識が必要で、ミスや遅れが思わぬトラブルに直結します。社労士に相談・依頼することで得られるメリットは大きく、開業後の安心感や経営の安定につながります。特に小規模店舗でも、少人数の雇用から複雑な対応が必要になるため、社労士を頼ることで経営者は本業に専念できます。

ミス防止と安心感

社会保険や労働保険の手続きは期限や書式が厳格で、一つのミスが従業員への不利益や罰則に発展することもあります。社労士は最新の法改正に基づいて正確に処理するため、安心して任せられます。

経営者が本業に集中できる

給与計算や手続きに時間を割かれると、接客や仕入れ、店舗運営といった本来の業務に集中できません。社労士に委託することで煩雑なバックオフィス業務を手放し、売上向上やサービス改善に注力できます。

従業員トラブルを予防できる

就業規則や契約条件の不備は、従業員トラブルの温床になります。社労士は労務の専門家として、トラブルを未然に防ぐルールづくりをサポート。労使関係を安定させることで、安心して人材を雇用できます。

依頼が有効なケース

「社労士に相談するのは大企業だけ」と思われがちですが、実際には小規模の飲食店や小売店でも依頼が有効なシーンが多くあります。特に開業直後は労務や保険の知識が不足しがちで、制度に対応できずにトラブルを抱えるケースも少なくありません。以下のような状況では、社労士への相談が強くおすすめされます。

従業員を雇う予定があるとき

アルバイトを1人でも雇えば、社会保険や労働保険の加入手続きが必要になります。雇用形態や勤務時間によって条件が変わるため、専門知識がなければ判断を誤る可能性も。社労士に依頼することで、スムーズかつ確実に対応できます。

法人化や事業拡大を検討しているとき

法人化すれば、役員報酬の給与計算や社会保険の加入が必須になります。さらに、店舗が急成長すれば従業員数も増え、労務管理は一気に複雑化。早い段階から社労士に相談しておくことで、成長に伴うリスクを未然に防げます。

給与計算や労務管理に不安があるとき

給与計算のミスや就業規則の未整備は、従業員トラブルの原因になりやすいポイントです。特に飲食や小売はシフト制や時給制が多く、残業代の算出などで混乱することもあります。社労士のサポートを得ることで、安心して店舗運営を続けられます。

「社労士は必要ない」とされる理由

社労士の必要性について調べると「小規模店舗なら不要では?」という意見を目にすることがあります。確かに、依頼内容が少ない場合や代替手段がある場合、社労士を契約せずに運営している店舗も存在します。しかし、多くの場合は「正しい理解がされていない」ことが背景にあります。代表的な理由を整理すると次の通りです。

業務が少なく自分で対応できると考える

開業直後「まだ大丈夫」と考えがち、社会保険や労務関連の手続きを自分で済ませようとする人も多いです。しかし、手続きには期限や法的要件があり、対応を誤ると後から修正が必要になったり、罰則につながったりします。

労務管理システムや税理士で代替できると思われている

給与計算ソフトやクラウドの労務管理システムを導入することで、ある程度の業務はたしかに代替可能です。また、税理士に給与計算を依頼している店舗もあります。しかし、税理士は税務の専門家であり、社会保険や労務トラブル対応は範囲外。システムも入力内容次第で誤りが生じます。

費用面で負担が大きいと感じられる

「顧問料を払うほど依頼内容がないのでは」と考える方も少なくありません。ただし、現在はスポット依頼や相談契約といった柔軟な契約形態も広がっています。必要な場面だけ社労士を活用する方法もあるため、費用面だけで「不要」と判断するのは早計です。

依頼から契約する流れ

「社労士にお願いしてみたいけど、実際にはどんな流れで進むの?」と不安を感じる方も多いと思いますが、基本的にはシンプルです。

依頼するときの流れ4ステップ

  • ①問い合わせ→Webから簡単に可能
  • ②相談・見積もり→初回無料が多いので気軽に聞ける
  • ③契約→内容と費用に納得できたら契約
  • ④実務スタート→書類提出や給与計算など、具体的な業務スタート

初回相談が無料の事務所も多く、気軽に始められるのがポイントです。以下で詳しく見ていきましょう。

①問い合わせ

まずは電話やメール、ホームページから問い合わせをします。店舗の規模や従業員数など、簡単な情報を伝えることで初回面談の日程が調整されます。

②相談・見積もり

面談では、現状の課題や依頼したい業務を伝えます。例えば「アルバイトを雇う予定がある」「給与計算を任せたい」といった具体的な要望を出すとスムーズです。事務所側からは見積もりや契約プランの提案があります。

③契約

内容や料金に納得できれば契約を締結します。顧問契約だけでなく、スポット依頼や相談契約といった柔軟なプランも多く、ニーズに合わせて選べます。

④実務スタート

契約後は、社会保険や労働保険の手続き、給与計算、就業規則の整備など、実際の業務がスタートします。開業直後は特に書類提出が多いため、社労士のサポートを受けられると安心です。

費用感の目安

「社労士に相談したいけれど、どれくらい費用がかかるのだろう?」というのは多くの経営者が最初に抱える疑問です。社労士の報酬は法律で一律に決まっているわけではなく、依頼内容や事務所ごとに異なります。大きく分けると 顧問契約・スポット依頼・給与計算代行 の3つの形態があります。

  • 顧問契約(月額):小規模(従業員5人以下)で2〜3万円前後が目安
  • スポット依頼(1回ごと):就業規則の作成や労災申請など、数万円〜十数万円程度
  • 給与計算代行:従業員10人程度で月2〜3万円、50人規模なら5〜9万円程度

特に開業直後は「顧問契約をいきなり結ぶのは不安」という方も多いため、まずはスポット依頼や相談契約から始めるケースが増えています。

費用が変動する要因

費用は「従業員数」「依頼範囲」「契約内容」によって大きく変動します。例えば、従業員が増えると給与計算や社会保険の加入手続きが複雑になり、費用も高くなるのが一般的です。また、書類作成だけ依頼するのか、相談対応まで含めるのかによっても契約金額は変わります。

無料相談を活用しよう

多くの事務所では、初回相談を無料で受け付けています。そこで「どこまで依頼したいか」「どんなサポートが必要か」を確認すれば、費用感のイメージがつかみやすくなります。複数の事務所を比較し、自社に合った料金体系を選ぶのがおすすめです。

まとめ

開業時に「社労士は本当に必要?」と疑問に思う方は多いですが、従業員を雇う、法人化を進めるといった段階では避けて通れない存在です。社会保険や労務管理の知識・手続きを専門家に任せることで、手続きミスやトラブルを防ぎ、本業に集中できる環境を整えられます。

さらに、日々の運営を支える仕組みづくりも欠かせません。例えば CASHIER(キャッシャー)POSシステム を導入すれば、売上や在庫データをリアルタイムで可視化でき、経営判断がスピーディになります。社労士のサポートとあわせて導入すれば、労務・会計・販売管理の基盤が強化され、安心して店舗経営を進められるでしょう。

まずは「どんな業務を任せたいか」「費用感はどのくらいか」を確認するために、無料相談や見積もりを活用してみるのがおすすめです。社労士は、あなたの飲食店や小売店の成長を長期的に支える心強いパートナーになってくれるはずです。

記事の投稿者PROFILE

CASHIER カスタマーサクセス

藤原 貴雄

2014年11月入社。前職はインテリア販売を経験し、接客/営業のスキルを磨く。
前職で培ったスキルをベースにPOSレンタルの営業や各地方の物販運営業務などを経験。
2021年CASHIER事業としてチーム変更し、
現在はカスタマーサクセスのリーダーとしてチームを纏める役割を担っている。

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