2025年度の税制改正により、免税制度が見直されました。インバウンド需要への対応力を高めることができる一方、店舗側にはシステム対応の準備が欠かせません。
本記事では、免税システムの基本から改正内容、システムの選び方やおすすめ製品までを徹底解説します。制度改正をチャンスに変え、効率的な店舗運営と売上拡大を実現するための参考にしてください。
▶︎POSレジ導入のメリットと効果:店舗運営を効率化する最新トレンド
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
インバウンド需要が高まるなか、制度変更にスムーズに対応するには、免税システムの導入が不可欠です。POSレジ一体型の免税システムなら、店舗運営の業務を効率化しつつ、正確かつ効率的な免税手続きが可能になります。インバウンド需要に対応し、店舗の信頼性を高めたい方はぜひ参考にしてください。
免税システムとは、訪日外国人旅行者などを対象に、商品の免税販売手続きを電子的に行うための仕組みです。従来は手書きの書類で対応できましたが、2018年度の輸出物品販売場制度改正により、2021年10月からは免税購入品情報などを国税庁に電子送信することが義務化されました。
免税システムの導入により、免税手続きに必要なパスポート情報や購入内容を自動で送信でき、正確で効率的な免税処理が可能です。購入客を待たせることがないため、レジ周りや店内の混雑緩和につながります。
さらに、2023年4月には免税制度が改正され、免税購入の対象者となる在留資格が「短期滞在」「外交」「公用」の在留資格を有する者に見直されました。こうした制度改正により、今後は免税システムの導入が事実上必須となり、店舗には早めの対応が求められています。
出典:
国税庁|消費税の輸出物品販売場制度における面勢販売手続が電子化されます
国土交通省 観光庁|消費税免税制度改正のお知らせ(令和5年4月1日施行)
2025年度の免税制度改正により、2026年11月から従来の「購入時免税(ダイレクトタックスフリー)」から「リファンド方式(ポストリファンド)」が導入されることになりました。
リファンド方式とは、外国人旅行者が免税品を購入する際に一旦消費税を支払い、その後出国時に物品の持ち出しが確認された場合に、後から消費税額を還付する仕組みです。
現在の制度では、購入時に消費税を免除し、出国時に確認を行って物品が持ち出されていない場合に消費税を徴収しています。
しかし、訪日客が免税商品を日本国内で転売するなど、不正利用が後を絶たないことが課題でした。そのため、購入時点で税金を徴収する「リファンド方式」に改め、不正防止を図ることになったのです。
購入時免税(ダイレクトタックスフリー) | リファンド方式(ポストリファンド) | |
税金の支払い | 購入時に消費税を免除 | 購入時に一旦消費税を支払う |
免税適用のタイミング | 会計時に免税適用 | 出国時に物品確認後、消費税を還付 |
インバウンド需要が高まる今、制度変更にスムーズに対応するには、免税システムの導入が不可欠となり、店舗にとっても早期準備が重要になります。
免税販売手続きをスムーズに進めるためには、以下のような手順で準備が必要です。
このように、免税販売手続きの電子化には、税務署への申請や各種手続きが必要になります。しかし、専門的で複雑な内容が多いため、事業者だけで対応するのは負担になりがちです。
そこで、面倒な申請や手続きを事業者の代わりに行ってくれる「代行サービス」を利用する方法もあります。サポートを受けることで手間を減らし、スムーズに免税システムを導入できる点が大きなメリットです。
免税システムを導入することで、免税販売手続きが大幅に効率化されます。ここでは、免税システムの機能と導入するメリットを見ていきましょう。
免税システムの機能はシステムによっても異なりますが、主な機能は以下のとおりです。
主な機能 | 内容 |
旅券情報読み取り機能 | パスポートリーダーを用いて購入者情報を自動で読み取り、手入力による誤りを防ぐ |
販売商品情報の入力機能 | 対象となる商品の情報(商品名・価格・数量など)をシステムに登録し、免税販売手続きを効率的に進められる |
免税データ自動生成機能 | 登録された旅券情報や販売情報をもとに、国税庁に提出する電子報告データを自動生成。手作業による記入や計算の手間を削減できる |
国税庁自動送信機能 | 作成した免税電子データを国税庁サーバーに自動送信。法令に準拠した正確な免税手続きを実現 |
多言語対応機能 | 英語や中国語、韓国語など複数の言語に対応。訪日外国人旅行者へのスムーズな説明や手続きが可能となる |
売上データの一元管理機能 | 免税販売分を含む売上データを一括で管理・分析。経営状況の把握やインバウンド向けのマーケティング施策にも活用できる |
免税システムを導入するメリットは、手書き作業が不要となり、会計時間を大幅に短縮できる点です。手書きでは記載ミスや記載漏れが度々発生し、対応スタッフの負担が大きい点が課題でした。
しかし免税システムを導入すれば、手続きを効率化して記載ミスや記載漏れを防ぎ、外国人観光客を待たせることもありません。誰でも簡単に免税手続きを行えるため、スタッフを必要以上に増やす心配もないでしょう。
さらに、免税対応をアピールすることで訪日外国人観光客に安心感を与え、店舗の集客力アップにもつながります。
免税システムと一口にいっても、さまざまな種類があります。
中でもおすすめなのが、免税機能を搭載したPOSレジです。会計から免税手続きまでをワンストップで完結できるため、業務効率が格段に向上し、スタッフの負担軽減やミスの削減につながります。
ここでは、免税システムの種類についてそれぞれ解説します。
免税機能を搭載したPOSレジは、会計業務と免税手続きを一台で完結できる点が最大の特徴です。商品のスキャンと同時に免税額の計算が行えるため、レジ操作がシンプルになり、スタッフの教育にかかる時間も短縮できます。
また、免税処理のために別端末を用意する必要がないため、設置スペースを取らず、省スペースな店舗でも導入しやすいのが魅力です。さらに、売上や在庫管理などPOSレジ本来の機能と連動してデータを一元管理できるため、店舗運営を効率化できます。
初めて免税対応を行う店舗や、人件費削減、業務効率化を図りたい店舗には特におすすめのシステムです。
多機能型の免税システムは、免税手続きの電子化に加えて、店舗のマーケティングや顧客管理を強化できるのが大きな特徴です。
たとえば、以下のような便利機能を備えています。
便利機能 | 内容 |
訪日客に向けたプロモーションに役立つ機能 | 外国人観光客の販売データを蓄積し、購買傾向をもとにクーポンやキャンペーンなどを案内できる。 |
免税商品売上分析 | 免税対象商品の売上を国籍・商品別・時間帯などの切り口で分析可能。販売傾向を把握することで、仕入れ計画やマーケティング施策に役立つ。 |
本人確認の顔認証 | パスポート読み取りと合わせて顔認証を行うことで、なりすましや不正利用を防止。 |
不正免税検知機能 | 購入条件に合わない不正な免税申請や、なりすましがないかを検知する仕組み。 |
特にインバウンド需要を積極的に取り込みたい店舗や、免税を強みとして差別化を図りたい事業者に適したシステムといえるでしょう。
多機能な免税システム
多機能型の免税システムは、免税手続きの電子化に加えて、店舗のマーケティングや顧客管理を強化できるのが大きな特徴です。
たとえば、以下のような便利機能を備えています。
便利機能 | 内容 |
訪日客に向けたプロモーションに役立つ機能 | 外国人観光客の販売データを蓄積し、購買傾向をもとにクーポンやキャンペーンなどを案内できる。 |
免税商品売上分析 | 免税対象商品の売上を国籍・商品別・時間帯などの切り口で分析可能。販売傾向を把握することで、仕入れ計画やマーケティング施策に役立つ。 |
本人確認の顔認証 | パスポート読み取りと合わせて顔認証を行うことで、なりすましや不正利用を防止。 |
不正免税検知機能 | 購入条件に合わない不正な免税申請や、なりすましがないかを検知する仕組み。 |
特にインバウンド需要を積極的に取り込みたい店舗や、免税を強みとして差別化を図りたい事業者に適したシステムといえるでしょう。
シンプルな免税システムは、免税手続きに必要な最低限の機能に絞って構成されている点が特徴です。パスポートや商品情報の入力、免税額の自動計算、国税庁へのデータ送信といった基本業務を効率的に行えます。
初めて免税対応を行う小規模店舗や、免税対応を簡潔に済ませたい店舗に適しています。操作が分かりやすく、コストも抑えられることから、過度な機能を必要としない店舗にとって導入しやすい選択肢といえるでしょう。
免税システムの中には、システムの提供だけでなく免税店の申請手続きや免税データの精査を代行してくれるサービスと一体化したタイプも存在します。特に、新規で免税店を始める事業者や、日々の事務作業をできる限り軽減したい店舗にとって大きなメリットがあります。
煩雑な申請や免税条件の確認を専門スタッフに任せられるため、店舗側は販売や接客に集中することが可能です。免税業務を外部に委託することで、安心かつ効率的に免税対応を進められるのが大きな強みといえるでしょう。
免税システムを選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ解説します。
免税システムを導入する際は、「POSレジ一体型」か「専用システム」かを確認しましょう。専用システムは会計業務と免税手続きを別々に行うため、操作や管理の手間が増える可能性があります。
一方でPOSレジと免税システムの一体型なら、商品のスキャンから免税額の計算、会計処理までを一台で完結できるため、効率的でミスも少なくなります。特にスタッフ教育の負担を減らし、日常業務をスムーズにしたい店舗にはPOSレジ一体型がおすすめです。
免税システムを選ぶ際は、店舗の規模や来店する顧客層に合わせて必要な機能が備わっているかを確認することが重要です。
たとえば、以下のような選び方ができます。
また、導入時の初期設定や商品登録のサポート、トラブル発生時の迅速な対応など、サポート体制の充実度も大切なポイントです。単に機能だけでなく、困ったときに頼れる環境が整っているかを重視することで、長期的に安心して利用できます。
免税システムの選定においては、コストパフォーマンスも大切です。初期費用だけで判断するのではなく、月額利用料やメンテナンス費用などのランニングコストまで含めて総合的に比較することが欠かせません。
コストで選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
初期費用 | 専用端末型の免税システムは高額な傾向がある。POSレジ一体型は専用機器を必要としないため、初期費用を抑えられる |
月額利用料 | 自店舗に必要な機能ががあるか、アップデートやオプション費用も確認する |
メンテナンス費用 | POSレジ一体型の場合は自動でアップデートされることが多いため、管理の手間を減らせる |
費用対効果を見極め、導入後店舗経営にどの程度メリットをもたらすかを判断基準とすることが、失敗しない選び方のポイントです。
免税システムには、POSレジと一体化したタイプから多機能型、シンプル型、代行サービス付きまでさまざまな種類があります。店舗の規模や業務スタイルに合わせて選ぶことで、効率的かつ正確に免税手続きを行うことが可能です。
ここではタイプ別におすすめの免税システム・免税対応POSレジを紹介します。
CASHIERの免税対応POSレジは、会計と免税販売が一体化しているため、一台で両方の業務をスムーズに完結できるのが大きな利点です。操作がシンプルで直感的に使えるため、スタッフ教育に時間やコストをかけずに運用を始められます。
また、業種や業態に合わせてカスタマイズが可能で、独自アプリケーションの開発にも対応できるため、自店舗に最適なレジ環境を構築できる点が特徴です。商品登録の代行や訪問設置レクチャーなどサポート体制も充実しているので、初めて免税対応を行う店舗でも安心して導入できるでしょう。
スマートデタックスは免税システム業界の最大手で、豊富な導入実績を誇る免税システムです。世界195カ国のパスポートを正確に読み取れる高精度スキャン機能に加え、特許取得の不正免税防止機能を搭載し、転売目的の大量購入や買い回りを未然に防ぎます。
さらにCRM機能により顧客の購入額や頻度を可視化し、帰国後でも再来店を促したり越境ECの利用を促したりプロモーション活動に活用可能です。インバウンド需要に強い店舗や大規模店に適している免税システムです。
REMOTAX(リモタックス)は、小売店の免税手続きの一部を代行して処理してくれるサービスです。店舗側は専用アプリを使い、免税対象者のパスポートと購入レシートを撮影し、リモタックスに送信するだけ。
以降の還付金計算や国税庁システムへのデータ送信はすべてリモタックスが代行します。そのため、販売員に免税知識が不要となり、接客時間を短縮しながらも正確な手続きが可能です。
必要な機材はスマホやタブレットだけなので導入も容易。免税電子化の義務化が進む中、スムーズに免税対応を進めたい店舗に最適なサービスといえます。
2025年の免税制度改正により、全ての免税店で免税システムの導入が実質必須となります。これからの店舗運営では、単に導入するだけでなく、業務効率化やコスト削減、トラブル時のサポート体制まで含めて総合的に比較検討することが欠かせません。
中でも「免税対応POSレジ」は、会計業務と免税手続きを一元管理できるため、法改正へのスムーズな対応と同時に、増加するインバウンド需要を取り込む大きな武器になります。
CASHIERのPOSレジなら業界最安水準で導入できる上、店舗業務と免税販売を効率化できます。免税システムを導入する際は、ぜひCASHIERのPOSレジを検討してみてください。