開業に向けた第一歩として「資金調達」を考えたとき、多くの方が耳にするのが「日本政策金融公庫」という存在です。
しかし、実際に利用を検討した際に、銀行との違いや申請のタイミング、条件などが分からず、「自分が利用できるのか不安」という声も少なくありません。
この記事では、物価や人件費が高騰する今だからこそ知っておきたい、日本政策金融公庫の基本情報や特徴、銀行との違い、そして申込に必要な情報と申請のベストなタイミングについて解説していきます。
こんな方におすすめ
✔ 開業したいけど資金が足りない
✔ 創業して間もないが、資金繰りが不安
✔ 個人事業主の方
仕組みをステップごとに理解することで、開業準備に必要な資金計画を立てやすくなり、融資審査を通過する可能性がグッと上がります。
専門知識がなくても分かるようにまとめていますので、「初めての融資で不安…」という方も、安心して読み進めてみてください。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
開業時の資金調達に役立つ「日本政策金融公庫」について解説しています。銀行とは異なり、実績よりも計画や将来性を重視してくれるため、自己資金が少ない方や初めて起業する方にも心強い味方です。この記事では、申請の流れや必要書類、審査通過のコツを解説します。
飲食店や小売店を開業するには、物件取得費、内装工事費、設備投資、人件費など、多くの初期費用が発生します。 近年は原材料費や人件費の高騰により、新規開業を検討中の方は従来よりも資金の準備が難しく、自己資金だけで賄うのは難しいなと感じている方も多いのではないでしょうか。 そのため、多くの方が融資を受けようと検討はするものの、実際に 「どこから借りればいいのか分からない」 「審査に通るのか不安」 といった話を伺います。
そんな中で注目されているのが、「日本政策金融公庫(略称:公庫)」です。 公庫は、国が全額出資している財務省管轄の政府系金融機関のひとつで、創業や中小規模事業者および農林水産業社の資金調達を支援しています。 特に創業者向けの支援制度が豊富で、民間の銀行では融資が難しい場合でも、事業計画次第では前向きに検討してもらえる可能性があり、開業予定者やスタートアップ期の事業者にとっては、非常に心強い存在です。
公庫は「地域の経済や雇用を支えること」を目的に、全国に152支店(2025年6月11日現在)を展開しています。 特に創業を目指す方に向けては、「創業サポートデスク」などを通じて、無料での相談や事業計画書の添削など、きめ細かいサポートを実施しています。 また、「無担保・無保証人」で利用できる制度もあり、まだ実績がない個人でも活用しやすいのが特長です。 他にも、返済期間の設定が柔軟で、月々の負担を抑えやすい点もメリットの一つといえるでしょう。
民間の銀行は、会社の過去の取引実績や担保・保証人の有無をなど、実績や信用を重視する傾向があります。
一方で公庫は、将来のビジョンや創業計画の内容を丁寧に評価し、「これからの可能性」を重視してくれます。
自己資金が十分にない方や、初めての起業で実績がゼロという方でも、きちんと準備をすれば資金調達ができる可能性があります。
これらは、起業を本格的に考えている方にとって、大きな違いといえるでしょう。
公庫の創業向け制度の代表例が「新創業融資制度」です。 この制度は、創業前または創業後税務申告前であれば申請することが可能で、例え実績を持っていなくても「しっかりとした計画書」があれば審査の対象になります。 実際、融資の相談を開業の直前に始めた場合よりも、2か月以上前から準備していた方が審査がスムーズに進むという傾向があります。 創業サポートデスクでは、事業計画の骨子を一緒に確認してくれるので、早めの相談が結果的に近道になります。
実際に審査では、自己資金比率(通常は事業費の1/10〜1/3)が一つのポイントです。 また、売上予測や開業までのスケジュール、顧客の想定などを記載した「創業計画書」は、審査結果を左右する上で非常に重要な書類です。 テンプレートや、AIを使って埋めるだけでなく、 「なぜこの事業を始めるのか」 「どう成長させていくのか」 という会社を始める上でのビジョンを言葉にすることが大切です。 この部分を明確にできれば、信頼性は格段に上がります。
1.創業計画書(事業計画書)を作成しましょう
まず、事業の内容や将来の見通しをまとめた「創業計画書(事業計画書)」を作成します。売上・経費・利益の見込みや、商品・サービスの強み、ターゲット市場、運転資金や設備資金の内訳などを明確に記載することが重要です。 → ポイント: 融資審査ではこの書類が最も重視されます。 *自己資金も確認 自己資金がゼロの場合、融資はかなり難しくなります。目安としては、希望融資額の1〜2割程度の自己資金を用意しておくことが望ましいです。通帳の写しなどで確認されます。
2.公庫の支店または、創業サポートデスクに相談予約
申請前に、最寄りの日本政策金融公庫の支店、または「創業サポートデスク」に電話やWebフォームで相談予約を行います。アドバイザーから書類の不備や内容の改善点を指摘してもらえるため、事前相談は非常に有効です。
3.書類を揃えて申請
創業計画書のほか、本人確認書類、通帳コピー、見積書、履歴事項全部証明書(法人の場合)など、必要書類を揃えて正式に申請します。 公庫の担当者と面談 提出後には、担当者との面談があります。事業の熱意や、計画内容への理解、リスクへの備えなどが確認される場です。準備した計画書をもとに落ち着いて説明しましょう
4.審査
提出後、担当者との面談があります。事業の熱意や、計画内容への理解、リスクへの備えなどが確認される場です。準備した計画書をもとに落ち着いて説明しましょう。
5.口座へ入金
審査を通過すると、指定の銀行口座へ融資金が振り込まれます。通知から入金までは7〜10日ほどです。 日本政策金融公庫の融資申請は、約1ヶ月を要します。創業計画書の作成から相談予約・書類提出・面談を経て、審査に2〜3週間、入金までにさらに1週間程度かかります。事前準備を綿密に行うことで、より資金調達が現実的なものとなります。
創業前後に使える代表的な制度が「新創業融資制度」です。 この制度では、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資が、無担保・無保証人で受けられる場合があります。 全国の支店や「創業サポートデスク」では、無料で事業に関しての相談や計画書作成のアドバイスを受けることができます。 その他にも、創業希望者向けのセミナーも開催されており、初めての方でも安心してスタートを切るためのサポートが備わっています。
日本政策金融公庫は、「これからお店を始めたい」と考える方にとって、非常に心強い存在です。 銀行では融資が難しい場合でも、創業前から事業に関して相談できる体制や、実績に依存しない審査の仕組みが整っており、多くの開業希望者にとって現実的な資金調達手段となっています。 開業準備においては、資金計画とあわせて、「どこで・いつ・どうやって融資を受けるか」という視点を持つことが重要です。 特に日本政策金融公庫では、「新創業融資制度」や「創業サポートデスク」など、創業初期の不安を軽減してくれるサポートも充実しています。 これから開業を目指す方は、まずは公式サイトをチェックして、無料の相談窓口や制度の詳細を確認してみてください。 公式サイト:https://www.jfc.go.jp/ 不安をひとつずつ解消することで、理想の開業に一歩ずつ近づいていけるはずです。