モバイル決済は、スマートフォンやタブレット端末を用いて行う電子決済のことです。
昨今のキャッシュレス化推進の流れもあり、店舗に導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、モバイル決済は比較的新しいサービスということもあり、詳しく理解している方は少ないはずです。
そこで本記事では、モバイル決済の概要や導入するメリット・デメリットを解説します。
この記事を読めば、モバイル決済の特徴や注意点を理解し、店舗に導入すべきか判断できるようになるでしょう。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
スマートフォンやタブレットを活用したモバイル決済は、キャッシュレス化の進展とともに多くの店舗で導入が進んでいます。本記事では、モバイル決済の基本概要やメリット・デメリット、具体的な導入方法を詳しく解説します。さらに、主要な決済サービスの特徴を紹介しますので、キャッシュレス導入を検討中の方は、店舗にとって最適なサービスを選ぶ参考にしてください。
モバイル決済とは、スマートフォンやタブレットなどの端末を用いて行う電子決済のことです。
「スマートフォン決済」「スマホ決済」ともいいます。
現金やクレジットカードとは異なり、端末上のアプリや機能を使用して支払いを行う仕組みです。
代表的なサービスには、
などが挙げられます。
キャッシュレス化が進む現代では、商品購入に限らず、公共交通機関の利用や請求書の支払いなど、さまざまな場面で活用されています。
そのため、自店舗がモバイル決済に対応することで、消費者のニーズに応えられるようになり、新規顧客の獲得が期待できるでしょう。
モバイル決済と一口にいっても、さまざまな種類があります。具体的には以下の3つです。
それぞれの特徴を解説します。
コード決済とは、スマートフォンやタブレット端末を使い、QRコードまたはバーコードを読み込んで支払いを行う決済方法です。
代表的なサービスには、PayPayや楽天ペイ、d払いなどが挙げられます。
コード決済が普及した背景には、PayPayが独自に実施したキャンペーンが注目を集めたことが要因のひとつとなっています。
現在もその勢いは止まらず、PayPayの登録ユーザーは6,500万人を突破しており、日本の約2人に1人が利用しているサービスです。(2024年8月10日時点)
コード決済は、「決済時にポイントが貯まる」「割引キャンペーンを受けられる」といった特典があるため、幅広い世代に利用されています。
コード決済の支払い方法には、以下の2種類があります。
ユーザースキャン方式は、店舗側が提示するQRコードを消費者がアプリで読み取り、金額を入力して決済する方法です。
ストアスキャン方式の決済のやり方は、顧客がQRコードまたはバーコードを表示し、店舗側がスキャンして決済します。
ユーザースキャン方式の場合、店舗側がQRコードを用意するだけなので、導入費用を抑えられる点がメリットです。
ストアスキャン方式は、利用客による不正などがほとんどない点がメリットといえます。
モバイル決済の電子マネーは、クレジットカードや交通系電子マネーをスマートフォンと連携して支払う方法です。
電子マネーの中でも、「プリペイド式」と「ポストペイ式」の2種類があります。
事前に電子マネーをアプリへチャージするのがプリペイド式です。クレジットカードと同様、後払いが可能なサービスがポストペイ式です。
このように、モバイル決済の電子マネーは、デビットカードとクレジットカード決済のように使い分けができます。
代表的なサービスには、SuicaやPASMO、楽天Edyなどが挙げられます。
上記のサービスは、専用アプリを使えばカードを持ち歩く必要がありません。
モバイル決済電子マネーの支払い方法は、スマートフォンを専用端末にかざすだけです。
利用者は事前にアプリに電子マネーをチャージするか、クレジットカードと連携しておく必要があります。
店舗側は、電子マネー決済端末の用意が必要です。
現在は、キャッシュレス化推進の動きが活発なこともあり、無料で専用端末を提供しているメーカーも少なくありません。
Apple PayとGoogle Payは、さまざまなキャッシュレス決済を一元管理できる電子ウォレットサービスです。
Apple Payは、Apple社のiPhone端末、Google PayはAndroid端末に搭載されています。
どちらもスマートフォンにクレジットカードや電子マネー情報を登録し、専用端末にかざすだけで決済が行える仕組みです。
実店舗はもちろん、対応しているECサイトでも決済できます。そのため、現金やカードが手元になくても決済できる利便性が魅力です。
Apple PayとGoogle Payは、それぞれ利用できる決済ブランドと加盟店契約することで店舗に導入できます。
iPhoneやApple Watchなどの「Wallet」アプリに、クレジットカードや電子マネーなどを登録することで決済できるようになります。
Apple Payには、以下の決済手段が登録可能です。
決済手段 | 具体例 |
タッチ決済対応のクレジットカード | VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス |
交通系電子マネー | Suica、PASMO、ICOCAなど |
その他電子マネー | iD、QUICPay、nanaco、WAONなど |
Google Payはクレジットカードや電子マネーなどの決済手段を「Googleウォレット」アプリに登録して利用します。
Google Playストアから「Googleウォレット」のダウンロードが可能です。
さまざまな決済手段を登録しておけば、スマートフォンをかざすだけで決済ができるようになります。
登録できる決済手段は以下のとおりです。
決済手段 | 具体例 |
タッチ決済対応のクレジットカード | VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス |
交通系電子マネー | Suica、PASMO |
その他電子マネー | iD、QUICPay、nanaco、WAON、楽天Edy |
ここでは、モバイル決済のメリットを事業者側と消費者側それぞれの立場で解説します。
具体的には以下のとおりです。
店舗にモバイル決済を導入すれば、キャッシュレス決済を求める消費者のニーズに応え、新規顧客の獲得や売上の拡大が期待できます。
特に集客効果が期待できる層は若い世代です。
モバイル決済はスマートフォンをよく利用する若い世代に好まれているため、新たな顧客の獲得につながります。
モバイル決済を導入するメリットは、会計時間が短縮し、レジの混雑解消が期待できる点です。
モバイル決済はスマートフォンをかざすだけで決済ができるため、お釣りを渡す必要がなく、支払いがスムーズに進みます。
その結果、レジの待ち時間・混雑が解消し、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
モバイル決済を消費者側が利用するメリットは、さまざまな特典を受けられる点です。
多くのモバイル決済サービスで、利用額に応じてポイントが貯まったり、期間限定の割引クーポンを受け取れたりします。
現金での支払いと比べて、お得に買い物ができる点は消費者側のメリットでしょう。
モバイル決済を導入するメリットは多いですが、一方でデメリットもあります。
具体的には以下の3つです。
モバイル決済を導入する際、初期費用や運用費用がかかる点がデメリットです。
導入にかかる費用は、主に以下の項目が挙げられます。
初期費用 | 専用端末、POSレジの購入費用、ソフトウェアの購入費など |
運用費用 | 決済手数料や振込手数料など |
メンテナンス費用 | システムの定期的なメンテナンスやアップデート費用 |
特に小規模店舗や個人店では、上記のコストが負担になる場合があります。
また、費用だけでなく、スタッフにモバイル決済の操作方法を教育する時間も必要です。
とはいえ、長期的にみると会計の効率化や人件費の削減などが期待できるため、導入する際は総合的なコストバランスを考慮しましょう。
モバイル決済は利便性が高い一方で、セキュリティのリスクがつきものです。特に以下の2つには注意しなければなりません。
スマートフォンには、個人情報やクレジットカード情報などの重要な情報が保存されています。
盗難や紛失に遭えば、データ漏えいのリスクが高まるでしょう。
また、公共のWi-Fiを使ってモバイル決済を利用する場合、暗号化されていない通信をハッカーに狙われる可能性もゼロではありません。
そのため、店舗はセキュリティ機能の高い決済端末を選ぶことが大切です。
消費者は定期的にパスワードを変更し、2段階認証を導入するなどのセキュリティ対策が必要になります。
モバイル決済は、システム障害やネットワークトラブルのリスクがある点もデメリットです。
システム障害やネットワークトラブルが発生した場合、決済が行えず店舗の業務に支障をきたす可能性があります。
特に、店舗のピーク時にシステムがダウンすると、顧客に大きなストレスを与え、店舗の売り上げにも影響がでてしまうでしょう。
事業者は、安定したインターネット環境の整備や、システム障害が発生した際の代替策(現金やクレジットカード決済)を用意しておくことが重要です。
決済システムの安定性や信頼性を高めるためにも、定期的なメンテナンスやアップデートが求められます。
モバイル決済の導入には、サービスごとに直接契約するパターンと、決済代行会社を通して契約するパターンがあります。
決済代行会社とは、各決済会社と加盟店の間に立ち、契約から売上の入金まで一括で管理してくれる会社です。
直接契約の場合は、利用するモバイル決済ごとに自分で契約しなければなりません。導入する一般的な流れは以下のとおりです。
決済代行会社を利用すると、これらの手続きを任せられるため、面倒な手間を省けます。
モバイル決済の提供開始にかかる時間は約1〜2ヶ月ほどです。スケジュールに余裕をもって導入準備を進めましょう。
モバイル決済は、スムーズな会計や新規顧客の獲得、業務の効率化につながる便利な決済手段です。
特に、QRコード決済や電子マネー決済の普及により、キャッシュレス対応は店舗運営において欠かせない要素となっています。
しかし、導入コストやセキュリティリスク、システム障害などの課題も考慮する必要があります。
CASHIER(キャッシャー)は、モバイル決済を含む多様な決済手段に対応し、シンプルな操作性と高いセキュリティを兼ね備えたPOSレジシステムです。
キャッシュレス化をスムーズに導入し、店舗の業務効率を最大化するために、CASHIERの活用をぜひご検討ください。