人手不足が深刻化するなか、セルフレジの導入は多くの店舗で注目されています。近年は機能性や操作性が向上し、飲食店や小売店にとどまらず、カフェのような比較的小規模な店舗でも導入されています。
シンプルかつデザイン性に優れたセルフレジも多く登場しているため、おしゃれなカフェ空間にも違和感なく導入が可能です。しかし、セルフレジにも種類が多くあり、どの製品・メーカーを選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、カフェにセルフレジを導入するメリットや失敗しない選び方を解説します。カフェでの導入に迷っている方に向けて有益な情報を提供しているので、ぜひ参考にしてください。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、カフェにセルフレジを導入するメリットや導入のポイントを紹介しています。セルフレジはカフェの回転率向上や売上アップ、人件費削減などが期待できます。低価格のセルフレジも増えてきたので、ぜひカフェにも導入を検討してみてください。
カフェにセルフレジを導入するメリットは以下の5つが挙げられます。
それぞれの内容を見ていきましょう。
カフェにセルフレジを導入することで、回転率が上がり、利益アップが期待できます。セルフレジは会計をお客様自身が行うため、レジ業務がスムーズになり、レジ待ちの列が解消されます。
お客様の好きなタイミングで会計を済ませられるため、待ち時間によるストレスを軽減することも可能です。また、レジ業務にかかっていた時間をオーダー業務や接客に充てることで、1オーダーあたりの時間を短縮。ピーク時でも多くの来店客に対応でき、利益アップにつながります。
特に人員が足りていない小規模のカフェでも、セルフレジの導入により業務が効率化され、売り上げ向上が期待できるでしょう。限られたスペースと人員でも効率的な店舗運営を実現できる点は大きなメリットです。
セルフレジに搭載されている機能を活用することで、売上データや在庫情報をリアルタイムで把握できます。商品が売れるたびに在庫数が自動で更新されるため、欠品や過剰在庫のリスクを軽減することが可能です。
売上データでは、商品別・時間帯別・曜日別など、さまざまな角度からデータを分析できるため、人気商品の把握や仕入れ量の調整に役立ちます。カフェにセルフレジを導入することで、管理業務の負担を軽減しながら、効率的な店舗運営を実現できる点が大きなメリットです。
セルフレジは、顧客の購買データを自動で収集・分析できるため、商品開発やマーケティング施策に役立ちます。たとえば、顧客の年齢・性別・来店時間帯などのデータをもとに、メニューの売れ筋や顧客の購買パターンを把握できます。
集計データを活用すれば、需要を予測できるようになり、
など、ターゲットに最適化したサービス展開が可能になるでしょう。勘に頼らない、データに基づいたカフェ運営が可能になります。
セルフレジの導入により、業務が効率化されることで、スタッフが他の業務に専念できる点もメリットのひとつです。注文から会計までをお客様に任せ、スタッフは本来の接客や調理業務に集中できます。
特に小規模なカフェでは、少ない人員で店舗を回す必要があり、ピーク時などは会計や注文でお客様を待たせることもあるでしょう。セルフレジなら、レジ業務やオーダー業務を効率化できるため、お客様の待ち時間短縮にもつながります。
業務を効率化して浮いた人員を接客サービスなどに注力すれば、お客様満足度の高いカフェ運営を実現できます。そのため、人手不足が深刻なカフェでは、セルフレジの導入メリットが大きいといえるでしょう。
セルフレジの導入により、レジ業務を担うスタッフの人件費を削減できます。仮に1人の人員を削減したとしても、月々の人件費を大幅に抑えることが可能になり、コスト削減の効果は非常に大きいといえるでしょう。
たとえば、時給1,000円で1日8時間、月20日働くアルバイトスタッフを雇用したとします。
セルフレジを導入し、スタッフ1人を削減するだけで年間約200万円近くの人件費を削減できる計算です。また、セルフレジに蓄積されたデータを活用すれば、混雑する時間帯を把握でき、接客スタッフのシフトを効率的に管理できます。
利用客が少ない時間帯でも、無理にアルバイトをシフトに入れる必要がなくなり、無駄な人件費を抑えられるでしょう。
Shot in low light hand pressing electronic cash register in a shop
カフェに導入できるセルフレジには以下のような種類があります。
カフェの規模や運営スタイルによって最適なレジの種類は異なるので、導入前に知っておきましょう。
セミセルフレジは、スタッフが商品のスキャンを行い、会計だけをお客様自身で行うタイプのレジシステムです。カフェの場合は注文をスタッフが取り、お客様が会計を行います。ドリンクのカスタマイズなど、メニュー構成が複雑になりやすいカフェにはセミセルフレジはおすすめです。
現金・クレジットカード・電子マネーなど複数の決済手段に対応できるため、お客様の幅広い支払いニーズにも対応できます。また、導入コストがフルセルフレジに比べて低く、有人レジとフルセルフの中間的な存在として、中小規模のカフェにも導入しやすいです。
ただし、支払い部分のみのセルフ化となるため、注文・会計をお客様が行うフルセルフレジと比べて、人件費削減効果は低くなります。とはいえ、ピークタイムの会計スピードの向上や、スタッフ負担の軽減には大きく貢献するでしょう。
フルセルフレジは、注文から会計までをお客様自身がすべて行うタイプのレジシステムです。完全無人が可能となり、スタッフの配置が不要となるため、人件費削減や店舗の業務効率化に大きく貢献します。
ただし、ドリンクのサイズ選択やカスタマイズが複雑なカフェでは、メニュー表示が難しくなりがちです。また、高齢者や機械操作が苦手な方は、操作に戸惑うケースもあります。
カフェの客層に高齢者が多い場合は、セミセルフレジやPOSレジなどの有人レジとの併用がおすすめです。シンプルなメニュー構成やテイクアウト主体のカフェ、無人営業のカフェには、フルセルフレジの導入を検討してもよいでしょう。
POSレジ(Point of Sale)とは、日本語で販売時点情報管理のことです。販売情報(いつ、何を、どの客層に、どうやって、いくらで)をリアルタイムで記録・分析できるレジシステムのことを指します。
POSレジと自動釣銭機を組み合わせることで、スピーディに会計ができ、釣銭の渡し間違いなどを削減できます。レジ機能以外にも、売上分析機能や顧客管理機能、在庫管理機能など、さまざまな機能を備えているのも特徴です。
初期導入費用は15万円~30万円程度、月額費用は数千円~数万円が一般的です。最近ではカフェ空間に溶け込む、スタイリッシュで洗練されたデザインのPOSレジも多く登場しています。
iPadレジは、Apple社のiPad端末に専用のレジアプリをインストールして利用するレジのことです。従来のレジとは異なり、専用の大型端末を必要としないため、省スペースでの運用が可能となります。
初期費用やランニングコストが低く、端末本体とアプリの月額利用料だけで始められる点もメリットです。iPadを使用するため操作も簡単。小規模カフェや個人経営店に設置しやすく、コストパフォーマンスに優れています。
ただし、インターネット接続が必要となるため、安定したネット環境は必須です。ネット環境の遮断やシステムエラーにより、レジ業務がストップしてしまうデメリットもあります。そのため、通信トラブル時のサポート体制をあらかじめ整えておくと安心です。
iPadレジ(POS)は、iPadレジにPOS(販売情報管理)機能を追加した、クラウド型レジシステムのことです。レジ機能以外にも、売上・在庫・顧客情報などをクラウド上でリアルタイム管理でき、店舗運営の可視化と効率化に役立ちます。
また、カフェメニューごとの売上分析や曜日別の来客傾向、スタッフ別の販売実績など、詳細なデータを確認できるのもメリットです。チェーン展開しているカフェなら、複数店舗管理機能により、複数店舗の売上・在庫を一元管理できます。
クラウド型のため、アップデートや新機能の追加も容易で、時代に合わせた運用がしやすい点が魅力です。カフェだけでなく、アパレルや美容室などさまざまな業種に選ばれています。
カフェ用のセルフレジを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
それぞれ解説します。
カフェは比較的小規模な店舗が多く、客席や動線を確保するためにも、大きなセルフレジ機器は設置が難しい場合が多いです。セルフレジを導入する前に、設置に必要なスペースの確保、製品のサイズを確認することが大切です。
小規模のカフェにセルフレジを設置する場合は、卓上に設置できるタイプの機器をおすすめします。前述したiPadレジは、タブレット端末で会計できるようになるため、省スペースでも設置が可能です。
デザイン性や設置方法も考慮して、店舗の雰囲気に馴染むモデルを選びましょう。
カフェにセルフレジを導入する際は、キャッシュレス決済に対応した機種を選ぶことがポイントです。キャッシュレス決済の普及により、現金を使わずに買い物をする人が増えています。
特に若年層が多いカフェでは、現金だけでなくクレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、さまざまな支払い方法に対応しておくべきです。現金のみの場合、お客様が使いづらい店舗になってしまい、機会損失につながる可能性もあります。
また、外国人観光客の多くはキャッシュレス決済を好みます。多様な決済方法に対応できるのは、より多くの顧客を取り込むうえで欠かせません。そのため、幅広いキャッシュレス手段に対応できるセルフレジを選ぶことが、今後のカフェ運営でも大切です。
セルフレジを選ぶ際は、カフェの雰囲気を壊さないデザインの製品を選びましょう。カフェは他の業態と違い、空間の雰囲気やインテリアが来店動機につながるからです。
そこに無機質なレジを設置すると、カフェの世界観が損なわれ、機会損失になる恐れがあります。最近では、カフェの空間にも溶け込む、おしゃれでコンパクトなデザインのモデルが多く登場しています。
たとえば、タブレット型POSレジなら、スタイリッシュで置く場所を選びません。カフェの内装に合うカバーをiPadにつければ、違和感なくレジを設置できるでしょう。
また、設置場所を工夫することで、レジの存在感を消すことも可能です。店舗のブランディングを維持しながら業務効率化を図るには、レジの見た目にも配慮して製品を選びましょう。
POSシステムと連携できるセルフレジを導入すれば、売上や顧客情報などのデータをリアルタイムで把握できます。販売状況をデータベース化して管理することで、無駄のないメニュー構成や仕入れ量の調整がしやすくなるでしょう。
たとえば、人気メニューの傾向や時間帯別の来店数を把握すれば、需要に応じたメニュー開発やサービス提供が可能になります。特にカフェ経営では、他店との「差別化」が重要です。そのため、自店でどのメニューが人気なのか、どの年代・属性の顧客に支持されているのかを把握することは欠かせません。
自店舗の強みを理解し、そのオリジナリティを引き出していくためには、データ収集が大切です。POSシステムとスムーズに連携できるセルフレジの導入は、カフェ運営において非常に重要なポイントといえます。
セルフレジのタッチパネル画面にカスタマイズ機能があると、メニューを見やすく表示できます。テンプレートのようなレイアウトではなく、店舗独自のメニュー構成をそのまま再現できるのが特徴です。
定番メニューはもちろん、季節ごとのおすすめ商品や新メニューを、見やすく効果的に表示できます。写真や画像を自由に表示できるものであれば、おすすめメニューの表示やキャンペーンの告知にも活用可能です。
また、メーカーによっては、店舗メニューのデザインを委託することもできます。セルフレジを導入する際は、カスタマイズ性の高さやサポート体制もあわせて確認しておきましょう。
カフェAでは、障がい者施設のメンバーやスタッフが交代でレジ業務を担当するため、「誰でも簡単に操作できるレジ」と、手作りで作ったものを販売するので「簡単にバーコードシールを作成したい」という理由から、スキャナー・ドロアー・プリンター一体型レジを導入しました。
その結果、直感的に操作できるPOSレジが実現でき、バーコード発行や販売データの集計も効率化されました。施設ごとの売上報告もスムーズになり、業務の効率化にも役立っています。
セルフレジは、業務効率化や人手不足対策、顧客満足度の向上を同時に実現するツールです。特に少人数で運営するカフェでは、業務負担を軽減しながらサービスの質を保つことができる、強力なサポート役となります。
導入を検討する際は、店舗の規模やコスト、運用スタイルに合った機種を選ぶことが重要です。最近では、低価格で導入できるタブレット型POSレジも登場し、小規模カフェでも導入しやすくなっています。
適切なセルフレジの導入は、日々の店舗運営をよりスムーズにし、リピーターの獲得にもつながります。自店舗の課題やニーズを踏まえたうえで、セルフレジの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。