昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からキャッシュレス決済、いわゆる現金を使わない決済方法が徐々に広がりを見せています。
コンビニや飲食店などに加えて、公共機関や自治体でもキャッシュレス化が進んでいますが、どの決済方法で導入していいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回では、多様化するキャッシュレス決済の種類やメリット・デメリット、導入する前に知っておきたい重要ポイントなどをわかりやすく解説していきます。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、キャッシュレス決済が店舗運営に与える影響やメリットについて説明しています。特に、顧客の利便性向上、業務効率化、売上増加などが挙げられます。また、店舗側での導入コストやセキュリティの重要性についても言及しています。導入を検討する際は、様々な決済手段を検討し、顧客ニーズに合った選択をすることが推奨されています。
かつては現金の支払い決済が主流だった日本でしたが、現在においては現金を持たずに電子マネーやカードで支払いを行う人が増えています。 キャッシュレス決済は、2010年以降、外国人観光客が急増したことで徐々に普及していきましたが、経済産業省が平成30年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」よってさらに拍車がかかりました。 キャッシュレス・ビジョンとは、2027年にまでにキャッシュレス決済比率40%を目指す政府による施策です。 将来的にはキャッシュレス決済比率80%を目標としており、国をあげてキャッシュレス化を推進しています。 昨今においては、新型コロナウイルスの感染拡大もキャッシュレス決済の導入を急速に広めた要因であり、消費者の需要に伴って多種多様な業種がキャッシュレス決済の導入を進めているのが現状です。
キャッシュレス決済といえばクレジットカードが代表的でしたが、電子マネー決済やコード決済を導入する店舗が増えています。 キャッシュレス決済は多様化しているため、どの決済方法を選んでいいかわからない方もいると思いますが、まずは大きく分けて4種類の決済方法があることに注目しましょう。
上記の決済方法の特徴やメリット・デメリットについて要点を絞ってわかりやすく解説していきます。
クレジットカード決済は、クレジットカードの登録情報を参照して、カード会社が利用店舗に料金を支払うシステムです。
業種問わず、さまざまな実店舗やオンラインショップで活用されているため、キャッシュレス決済を導入する際に最初に検討すべき手段といえるでしょう。
クレジットカードは、Visa、Mastercard、JCBなどのクレジットカード会社と直接契約する導入方法と、決済代行会社に依頼する導入方法があります。
直接契約の場合は契約先によって入金日が異なるため、複数契約した場合はそれぞれ管理しなければなりません。
一方で、決済代行会社経由の場合は契約内容を統一することが可能です。
審査に通過したあとは、クレジットカードの決済専用端末を購入することでサービスを利用できます。
クレジットカード決済は、キャッシュレス決済のなかで最も普及しているお馴染みの決済方法のため、導入することで顧客単価アップに期待できます。
決済のスピードが早いため、レジ業務が簡略化されてレジ待ちの時間削減にも繋がります。
クレジットカードを使えるかどうかで店舗の利用を判断する消費者も少なくないため、販売機会の向上も見込めるキャッシュレス決済で外せない手段となるでしょう。
クレジットカードの決済時は手数料が発生し、決済代行会社によって手数料率が変動します。
また、決済端末やシステムを導入する際に、人手や金銭的なコストが発生することを想定しておきましょう。
キャッシュの場合は即時現金が入りますが、クレジットカードの場合は当月末締め・翌月末払いなどの入金サイクルが決められているため、入金にタイムラグがあることを理解しておかなければなりません。
デビットカードはクレジットカードとは異なり、商品を購入した時点で利用者の口座から引き落としされる決済方法です。
キャッシュカードと一体化したJ-Debitの利用は加盟店に限定されますが、大手クレジットカード会社が発行するブランドデビットであればコンビニや飲食店などさまざまな店舗で利用可能です。
J-Debitを導入する場合は加盟店と直接契約となり、日本デビットカード推進協議会へ入会する必要があります。その際、入会金や年間登録料が発生します。
ブランドデビットの場合は、VISAやMasterCardなどの国際ブランドの各加盟店とそれぞれ契約する形となります。
審査に通過したあとは、デビットカードの決済専用端末を購入することでサービスを利用できます。
入金にタイムラグがあるクレジットカードとは異なり、デビットカードならすぐに現金が回収でき、早期の資金効率化を図れます。
入金のタイミングは一般的に金融機関の3営業日後とされており、未回収のリスクはかなり低いです。
J-Debitを導入する場合は決済端末の導入費用に加えて、入会金や登録料が発生します。
また、デビットカードの普及率はクレジットカードや電子マネー決済と比べて低いため、導入費用と顧客獲得率を考えた場合に思うような費用対効果を得られない可能性があります。
そのため、デビットカード決済のみを導入するケースは現実的ではなく、マルチ決済端末での導入がおすすめです。
電子マネー決済は、デジタルデータを用いてICカードやアプリでキャッシュレス決済できる方法です。
決済方法は交通系・流通系のカードやスマホを使ったORコード決済など複数あり、それぞれ主な活用シーンが異なります。
決済の種類 |
主な活用シーン |
交通系 |
・SuicaやICOCAなどのプリペイドカードに現金をチャージすることで利用できる。 ・電車やバスの運賃・自動販売機・売店などを中心導入されている決済方法。 |
流通系 |
・nanacoや楽天Edyなどのプリペイドカードに現金をチャージすることで利用できる。 ・小売店や飲食店を中心に導入されている決済方法。 |
スマホ決済 (QR決済) |
・スマホ端末や専用アプリとクレジットカードを連携することで利用できる。 ・小売店や飲食店、タクシーなどを中心に導入されている決済方法。 |
インターネット環境を整えた上で、電子マネー決済を提供する会社と直接契約をするか、決済代行会社に依頼をすることで導入可能です。審査に通過したあとは、各種サービスの決済専用端末を購入することでサービスを利用できます。
クレジットカードと同様に、レジ業務が簡略化されるため、店舗側の負担が軽減され、お客様を待たせる時間も削減されます。電子マネーはクレジットカードを所有していない客層の獲得に期待できるため、顧客の幅を広げることが可能です。とくにプリペイドカードの利用は年齢制限が緩いため、若年層の顧客獲得が見込めます。また、プリペイドカードの場合は即時決済に対応しているため、現金未回収のリスクを軽減できるメリットもあります。
電子マネー決済チャージ上限が設定されているため、高額商品の購入にはなかなか繋がりません。そのため、高額商品購入に繋がりやすいクレジットカードと併せて導入するケースが多く見受けられます。電子マネーの種類はかなり多いため、直接契約の場合は管理に大きな負担がかかることを想定しておきましょう。複数の決済方法を導入したい場合は、一元管理できるように決済代行会社を介して導入することをおすすめします。
電子マネー決済に分類されるスマホ決済は、スマホ端末の認証や専用アプリで発行されるQRコード、またはバーコードのスキャンでキャッシュレス決済する方法になります。
Apple PayやGoogle Payの場合は、スマホ端末と連携させた電子マネー、またはクレジットカードで支払いが可能です。若年層にも普及しているPayPayやLINE Payなどの専用アプリの場合は、QRコードを読み取ることでチャージ済の金額内で支払いできます。
インターネット環境を整えた上で、QRコード決済会社と直接契約をするか、決済代行会社に依頼して加盟店申請をすることで導入可能です。導入の際に審査があり、業種・業態・取り扱い商材などがチェックされます。審査に通過したあとは、コード決済専用端末を購入することでサービスを利用できます。
スマホ決済は利用者と店舗のスタッフが接触することなく決済できるため、新型コロナウイルス対策に最適なキャッシュレス決済方法といえます。スマホ端末で決済する場合、利用者は財布を持たなくてもスマホ一つで決済が可能となるため、カード決済ではアプローチできない層の集客アップが見込めます。
また、コード決済の場合は店舗側でスマホやタブレットのアプリをインストールすれば導入できるため、カードリーダーを必要とする決済より低コストで導入可能です。
コード決済は海外で主流となっているため、インバウンドの集客もしやすくなり売上アップに繋がるのも大きなメリットといえます。
コード決済は手数料0円のサービスもあればクレジットカード決済のように手数料が発生するサービスもあり、手数料率はサービスごとに異なります。2021年8月時点、PayPayとLINE payの手数料は無料となっていますが、2021年10月から有料化するため、導入をご検討の方は注意しましょう。
また、QRコード決済の場合はセキュリティ面で警戒すべきことがあり、中国では店舗の正規のQRコードがすり替えられ、決済をすることで第三者に送金されるという詐欺事件が確認されています。
店舗が用意したQRコードを利用者が読み込んで決済するユーザースキャン方式を導入する際は、くれぐれも気をつけましょう。
社会と消費者の需要増加に伴い、小中規模の事業者が続々とキャッシュレス決済を導入しはじめています。 同業のライバル社に遅れをとる前にキャッシュレス決済を導入しようと考えている方に、導入前に知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
キャッシュレス決済が行われるタイミングは、「前払い決済」「即時決済」「後払い決済」の3種類に分けられます。 それぞれの決済方法に代表されるサービスは以下の通りです。
決済のタイミング | 代表されるサービス |
前払い決済 | ・交通系電子マネー(Suica、ICOCA、PASMOなど) ・流通系電子マネー(nanaco、楽天Edyなど) ・コード系(PayPay、LINE Pay、ICカードに紐付いたApple Pay、Google Payなど) |
即日決済 | ・デビットカード(J-Debit、ブランドデビット) ・電子マネー(デビットカードに紐付いたiD、QUICPay、VISAタッチなど) ・コード系(銀行口座に紐付いたOrigamiPayなど) |
後払い決済 | ・各種クレジットカード ・クレジットカード系(クレジットカードに紐付いたiD、QUICPay、VISAタッチなど) ・コード系(クレジットカードに紐付いたApple Pay、Google Payなど) |
事業者側に入金されるスピードは、即日決済、前払い決済、後払い決済の順番で速くなります。 入金サイクルの速さを重視しつつ、消費者のニーズも捉えたい場合は、前払い型であるコード系決済などの導入がおすすめです。 高額商品を販売する事業の場合は、後払い決済のクレジットカード決済は確実におさえましょう。
キャッシュレス決済の導入状況について、「経済産業省のキャッシュレス推進室が実施したアンケート集計結果」をご紹介します。 対象となった項目は「クレジットカード」「交通系電子マネー」「流通系コード」「コード決済」の4種類です。
決済方法 | 導入率 |
クレジットカード | 55% |
交通系電子マネー | 25% |
流通系電子マネー | 25% |
コード決済 | 55% |
上記の何れかの決済 | 約70% |
※アンケートの実施期間:2021年1月27日~2021年3月31日 ※調査対象:全業種・合計1189社 キャッシュレス決済でお馴染みのクレジットカードが5割以上の導入率なのは予想できたと思いますが、コード決済もクレジットカードに並ぶ導入率であることがわかりました。 また、何れかの決済を導入している事業者は約70%となっており、小売業・飲食業・観光業でとくにキャッシュレス化が進行している状況です。 最近では、店舗のDX化やオムニチャネル化を視野に入れた経営戦略を立てる事業が目立ってきています。そのため、複数のキャッシュレス決済に対応できる環境や、実店舗以外で売上を立てられるEC・モバイルオーダーと受注環境を整えることも重要となります。 多様化しているキャッシュレス決済ですが、同業のライバル社に差をつけられないように、しっかりと顧客ニーズに合わせた決済方法を導入しましょう。
キャッシュレス決済を導入する際にかならず気にしなければならないのがコストです。 導入率が比較的高い「クレジットカード」「交通系・流通系電子マネー」「流通系電子マネー」「コード決済」にかかるコストの相場をわかりやすくまとめましたのでご覧ください。
決済方法 | コストの相場 |
クレジットカード | 決済端末導入費用:0円〜5万円 レシートプリンター導入費用:2万円〜5万円 通信費:月々3,000円以上 決済手数料:3%〜5% |
交通系・流通系 電子マネー | 決済端末導入費用:0円〜5万円 レシートプリンター導入費用:2万円〜5万円 通信費:月々3,000円以上 決済手数料:3%〜5% |
コード決済 (スマホ決済) | 決済端末導入費用:0円(一部のサービスを除く) レシートプリンター導入費用:2万円〜5万円 通信費:月々3,000円以上 決済手数料:0%〜3% |
上記の決済方法のなかでは、コード決済が最も安く導入できる方法となります。 決済手数料もコード決済なら0円のサービスがいくつもあるため、ランニングコストを抑えることができます。また、それぞれ決済端末とレシートプリンターを導入するコストが発生しますが、キャンペーンを適用して減額することが可能です。サービスによって導入費用と決済手数料は異なりますので、トータルのコストを抑えたい場合は相場よりも安いかどうかに注目しましょう。
キャッシュレス決済の種類やメリット・デメリット、導入する前に知っておきたい重要ポイントを解説しました。現在、小売業や飲食業をはじめとしたさまざまな事業でキャッシュレス決済の導入が進んでいる状況です。
そのなかでも、クレジットカード決済とコード決済は導入率50%を超えており、キャッシュレス決済のスタンダードになりつつあります。キャッシュレス決済は、それぞれ導入費用やランニングコストが異なるため、費用対効果を考えて慎重に導入しましょう。
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