キャッシュレス決済の導入について、費用面を懸念して踏み切れない店舗も多いでしょう。特に、継続的な負担となりやすいのが決済手数料です。
そこで本記事では、キャッシュレス決済の手数料に関して、概要や決済方法ごとの相場などをお伝えします。
お店にキャッシュレス決済を導入する場合、最初に確認しておきたいのが手数料です。こちらでは、キャッシュレス決済における手数料の概要をご説明します。
キャッシュレス決済における手数料には2つの種類があります。
まずは加盟店が負担する手数料です。こちらは、キャッシュレス決済によって売上が生じた際に、加盟店が決済事業者へ支払うお金のことです。 例えば手数料3%のサービスを導入している場合、1,000円の商品が売れると決済事業者へ30円の手数料を支払う義務が発生します。単に手数料と表現する場合は、こちらの手数料を意味するのが一般的です。
もう1つは利用者が負担する手数料です。例えば、分割払いやリボ払いの利用時に発生する手数料や、キャッシング枠を利用する場合の金利などを総称して手数料と呼びます。
店舗に導入するキャッシュレス決済の種類は、主に以下の3種類です。
それぞれ手数料や決済スピード、利用率などに違いがあるため、比較検討したうえで店舗に最適なものを導入することが大切です。
日本のキャッシュレス決済手数料は、海外と比較して高く、それが導入の障壁になっているといわれています。 例えばクレジットカード決済に絞って考えると、日本の手数料の相場は3〜5%前後ですが、EUでは上限を0.3%とする規制が導入されています。
そのほかにも、中国やスウェーデンなど手数料の平均が1%前後の国も多く、日本の決済手数料は海外と比べて高いといえるでしょう。
キャッシュレス決済の手数料は、種類に応じて異なるのが特徴です。続いては、キャッシュレス決済ごとの手数料の相場をご紹介します。
クレジットカード決済の手数料は、3〜5%が相場です。取引数の多い店舗やチェーン店ではもう少し手数料を抑えられる一方、個人経営のお店などの場合、契約によっては手数料が高くなるケースもあります。
一見すると、クレジットカード決済は手数料が高く、導入しづらいように感じるかもしれません。しかし、クレジットカード決済は3つのキャッシュレス決済のなかでもっとも利用者が多く、導入することで新規顧客の獲得や売上のアップなどのメリットが期待できます。
QRコード決済の場合、手数料の相場は0〜3%となっており、クレジットカードや電子マネーと比べて店舗側の負担を抑えやすいのが特徴です。手数料がかかる場合でも、無料期間やキャンペーンを実施しているケースが多く、タイミングによってはお得にキャッシュレス化を進められます。
また、決済端末がなくてもQRコードを印刷するだけで利用できるサービスが多いことから、手軽に導入できるキャッシュレス決済として人気です。
電子マネー決済の手数料は、3〜4%が相場です。電子マネー決済は、単価の低い支払いに使用されるケースが多く、店舗側は1決済あたり数円から数十円を負担することになるでしょう。
店舗で販売している商品の価格や立地、顧客層などを考慮して導入を検討するのがおすすめです。
キャッシュレス決済の利用にかかる費用は、手数料だけではありません。こちらでは、キャッシュレス決済の導入時、手数料以外に必要となる費用をご紹介します。
キャッシュレス決済を導入する場合、初期費用として発生するのが決済端末の設置費用です。キャッシュレス決済を利用するには、クレジットカードや交通系のICカードなどを読み取る機器が必要であり、多くのサービスでは導入時に端末を購入もしくはレンタルします。
決済端末の設置費用は、サービスごとにさまざまです。近年では競合との差別化を図るために、無料で端末を設置できるサービスも増えています。
キャッシュレス決済サービスのなかには、月額利用料がかかるものもあります。有料のサービスの場合、数千円前後が相場です。
ただし、近年では導入のしやすさを重視するために月額費用を無料としているサービスが多く、店舗側の負担は減少傾向にあります。
月額費用のかかるサービスを選ぶ場合は、付加価値の有無などを確認する必要があるでしょう。
売上の入金時には、金融機関が指定した振込手数料がかかります。店舗側と決済事業者のどちらが負担するかは、サービスや契約内容ごとに異なります。
振込手数料が無料の場合でも、最低振込金額などが設定されているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
キャッシュレス決済の導入には、そのほかにも費用がかかる場合があります。
例えばインターネット通信費です。キャッシュレス決済はインターネット通信を前提としたシステムのため、Wi-Fiなどを導入していない店舗では新たにコストが発生します。サービスや回線の種類にもよるものの、設置工事から行う場合はルーターの購入費用と併せて数万円程度かかります。
また、QRコードを印刷するためのプリンターや決済端末と連携可能なPOSレジなど、ハードウェアの購入・レンタル費用も予算に計上しておきましょう。
キャッシュレス決済の導入には、上記のような費用がかかります。
現代では支払い方法が多様化しており、さまざまなキャッシュレス決済サービスが登場しています。最後に、手数料面以外でキャッシュレス決済を選ぶ際に考慮すべきポイントを解説します。
キャッシュレス決済では、決済事業者から加盟店へ売上が入金されるまでにタイムラグがあります。キャッシュレス決済が正しく利用されているかチェックする時間が必要となるためです。
ただし、入金サイクルの長いサービスを選んでしまうと店舗の資金繰りに影響を及ぼし、経営状況の悪化を招く危険があります。
キャッシュレス決済サービスを選択する際は、入金サイクルの短いものを導入すると安心です。
店舗に導入するキャッシュレス決済は、できるだけ利用者数の多いものを選びたいところです。業務の効率化や売上のアップを期待してキャッシュレス化を進めても、利用者がいなければコストだけがかかってしまいます。
事前にリサーチを行い、ある程度の利用者が見込めるサービスを導入しましょう。
店舗に設置するキャッシュレス決済の種類は、顧客層に合わせることも大切です。
例えば学生のお客様が多いお店では、クレジットカードの利用があまり期待できないため、QRコードや電子マネーの導入が優先されるでしょう。反対に家族連れやビジネスパーソンの来店が多く、決済金額が大きくなりやすい店舗では、クレジットカードの導入が望まれます。
まずはメインターゲットとなる顧客層の使用率が高い決済方法を導入することで、抵抗なく利用してもらいやすくなります。
キャッシュレス決済を導入する際は、上記のポイントを意識すると良いでしょう。
キャッシュレス決済は、手数料や初期費用などのコストがかかるものの、売上の向上やレジ待ち時間の短縮などのメリットも期待できます。
近年ではコストの安価なサービスも多く登場しているため、以前より導入のハードルは下がっています。必要なコストや機器などを試算したうえで、店舗に合ったキャッシュレス決済を導入してみてはいかがでしょうか。