小売店や飲食店など、どの業界・業種でもレジ端末が必要です。しかし、支払い方法の多様化やコロナ禍の影響でレジ業務が煩雑化しています。そのような場合は、自動釣銭機の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
今回は、自動釣銭機の概要や導入によるメリット・デメリット、利用できる補助金について解説します。
自動釣銭機は、小売店や飲食店で必ず行う会計作業をラクにしてくれるアイテムです。こちらでは、自動釣銭機の概要や使い方、種類、価格の相場について解説します。
自動釣銭機とは、自動精算機やセルフ精算機とも呼ばれ、会計業務で必要となる釣銭の計算や出金を自動で行ってくれる機器のことです。端末に表示された金額をもとに硬貨や紙幣を投入すると、支払い総額が計算され、釣銭がドロアに排出されます。
自動釣銭機は、主に以下の3つの種類に分類されます。
POSレジと連携するタイプは、通常の対面レジをイメージしてください。釣銭の計算のみ自動釣銭機が行ってくれるため、レジ担当者は排出されたお金をお客様に手渡します。
フルセルフレジは、商品バーコードの読み取りから精算までをすべて利用客が行うタイプのレジです。自動釣銭機の機能が搭載されており、タッチパネルを操作して現金を投入すると自動的に釣銭が排出されます。
セミセルフレジは、POSレジと自動釣銭機が分けて設置されているタイプのレジです。利用客は、レジでスタッフに商品の登録をしてもらい、自動釣銭機に移動して端末に表示された金額を支払います。
本体の価格は、機能や自動釣銭機メーカーに応じて上下します。新品で購入する場合は、1台あたり30〜100万円が相場です。また、POSレジを併せて導入する場合は、さらに費用が上乗せされます。コスト面が負担に感じる場合は、中古端末の購入やレンタル・リース、後述する補助金の利用などをご検討ください。
自動釣銭機やセルフレジの設置は、店舗経営に多くの影響を与えます。ここでは、自動釣銭機を導入することでもたらされるメリットをご紹介します。
自動釣銭機を店舗に設置する最大のメリットは、レジ業務にかかる時間を短縮できる点です。従来のレジでは店員が行っていた、現金の受け渡しやお釣りの計算などが必要なくなるため、利用客1人あたりの接客時間を減らせます。特に、スーパーなどレジ業務の能率が求められる店舗では、高い恩恵を受けられるでしょう。
自動釣銭機は、一般的な精算機と比べて内部の現金を取り出すのに手間がかかるため、セキュリティの向上に役立ちます。防犯カメラの設置が不十分なお店や、過去に内部不正などトラブルが発生したことのある店舗での導入がおすすめです。
自動釣銭機を設置すると、レジ業務における会計の手間を減らせるため、新人スタッフの即戦力化がしやすくなります。特に、外国人など仕事慣れしていない方を従業員として雇用している店舗で重宝されます。
会計における金銭授受を自動釣銭機に任せることで、レジスタッフがお金に触れる機会を減らせるため、衛生面の向上につながります。コロナ禍で需要の増した衛生的な接客を実現でき、顧客からの評価も上がりやすくなるでしょう。
支払い金額やお釣りの計算を電卓などで行っている店舗では、たびたび精算ミスが発生します。自動釣銭機を設置すれば、正確な計算が可能になり、精算ミスの削減に役立ちます。機械による計算のため、利用客に納得してもらいやすいのもメリットです。精算ミスがなくなれば、閉店後のレジ締め作業の負担も軽減できるでしょう。
多くの自動釣銭機は、クレジットカードの決済にも対応しています。そのため、現在キャッシュレス決済に対応していない店舗や、独立した端末でクレジットカード決済を行っている店舗にもおすすめです。現代では若者を中心にキャッシュレス化が進んでおり、積極的に対応することで客層の幅を広げられます。
このように、自動釣銭機は店舗と顧客の双方にメリットがあります。
自動釣銭機を設置する場合は、メリットだけでなくデメリットも考慮した上で、最適な方法を選択する必要があります。こちらでは、自動釣銭機の導入によって考えられるデメリットや注意点を解説します。
先に紹介した通り、自動釣銭機の設置には費用がかかります。購入の場合は初期費用、レンタルやリースの場合はランニングコストが必要です。その他にも定期点検やメンテナンス費用がかかるケースもあるため、導入前に確認しましょう。
自動釣銭機は、機種によって使用できない硬貨や紙幣がある点もネックです。例えば、流通量が限られている2000円札や一部の500円硬貨は、端末によっては対応していません。これらのお金を使用したいお客様がいる場合は、有人レジに案内するか両替を行う必要があります。
自動釣銭機のサイズはさまざまですが、設置には一定の広さが必要です。特に、セミセルフのようにレジと自動釣銭機を分けて設置する場合は、スペースに余裕を持たせましょう。また、省スペースに設置できる卓上タイプの機種も登場しているため、自動釣銭機メーカーなどに相談してみるのもおすすめです。
自動釣銭機は精密機器であり、使用中にエラーや小銭が詰まるなどのトラブルが発生する可能性があります。運用時のリスクをゼロにするのは難しいため、定期メンテナンスやトラブル発生時の保守サービスの充実した提供会社を選ぶと良いでしょう。
自動釣銭機を設置する際は、上記の点に注意する必要があります
自動釣銭機を設置する際の最大の課題といえば、コスト面ではないでしょうか。こちらでは、自動釣銭機の導入時に活用できる補助金をご紹介します。気になるものがある場合は、公式ホームページをご確認ください。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓などにかけるコストの一部を助成する制度です。1年に複数回公募されており、指定の書類に必要事項を記入して提出すると審査を受けられます。補助金の上限額は最大200万円で、取り組みの内容に応じて変動します。
IT導入補助金は、中小企業等がITツールを導入する際に必要となる費用を補助する制度です。業務効率化に資するソフトウェアはもちろん、ハードウェアの導入にも利用できます。具体的には、自動券売機やPOSレジなどが対象となっています。
業務改善助成金は、中小規模事業者の業務効率改善に関する取り組みをサポートする補助金制度です。具体的には、生産性向上に役立つ取り組みを行い、その結果従業員の賃金を引き上げた場合に助成金を受け取れます。自動釣銭機をはじめとした設備の導入はもちろん、人材育成や教育訓練の実施なども支給の対象です。
ものづくり補助金は、生産性向上に役立つ設備投資を支援する仕組みです。取り組みの内容に応じていくつか枠が用意されており、事業者は対応するものに申請を行います。ホームページには利用事例が掲載されており、さまざまな分野で活用されていることがわかります。
自動釣銭機の費用が負担になる場合は、こちらの補助金の利用を検討してみてください。
自動釣銭機の導入は、業務の効率化やコスト削減など店舗にさまざまな恩恵をもたらします。端末によってはコスト面が課題となりますが、補助金を利用すれば負担を減らせます。レジ業務が煩雑化して対応に追われている場合は、自動釣銭機の設置を検討しましょう。