POSレジを導入する際には、初期費用がかかるものです。そこで活用したいのが補助金による支援制度ですが、補助金にはいくつか種類があります。
そこで本記事では、補助金・助成金の概要やPOSレジの導入費用として活用できる補助金の種類、申請方法、注意点を詳しく解説します。
※本記事で紹介する内容は2023年度の内容です。最新の情報と異なる場合があります。
そもそも助成金・補助金とはどのような制度なのでしょうか。助成金・補助金の基本的な概要をご紹介します。
助成金とは厚生労働省が主導している、原則、返済不要な公的な資金です。 労働環境改善や人材育成といった企業の福祉に関する環境・体制への取り組みの支援を目的としています。 助成金は、助成金ごとに設けられている受給要件を満たしていれば、基本的に受給可能です。
補助金とは経済産業省が主導している、原則、返済不要な公的な資金です。 事業の活性化や起業促進、研究開発といった経営活動や地域の発展への取り組みの支援を目的としています。 補助金は、補助金ごとに設けられている受給要件を満たし、さらに審査に通過することで受給できます。
助成金と補助金違いは複数ありますが、注意すべき違いを以下にまとめました。
助成金:数十万円~100万円程度
補助金:数百万円以上
助成金:なし
補助金:あり
助成金:通年もしくは数か月などの長期間 補助金:1週間~1カ月程度
補助金の方が受給金額こそ多いものの、審査があることや公募期間の短さから受給難易度は高くなっています。
助成金制度や補助金制度は年度によって、補助金額や内容が大幅に変更になる場合があるため、本記事では概要のみのご紹介となります。活用を検討される場合には各団体のホームページなどで最新の情報をご確認ください。
POSレジ導入に活用できる業務改善助成金について解説します。
事業場内の最低賃金を引き上げるために、機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練など設備投資にかかった費用を一部助成する制度です。POSレジや周辺機器などの設備投資時への活用が見込めます。
「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内」及び「事業場規模100人以下」という2つの条件を満たすことが条件となるため、主に中小企業や小規模事業者が対象となります。
この助成金では、購入した設備などにかかった費用の一部を支援するものなので、補助額は決まっていません。 その代わり、助成金額を決めるために助成率と助成上限額が設けられています。事業場内最低賃金や引き上げる最低賃金、賃金を引き上げる労働者の人数によって変わります。
業務改善助成金の申請の流れは、主に次のような手順となります。
参考:厚生労働省 | [2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援
支給要件を満たしているかを確認した上で申請書を提出し、交付決定が届いたらPOSレジの導入を進めます。その後、POSレジの導入による実績結果を提出し、審査に通過すれば助成金が支払われるというような流れになります。
POSレジ導入に活用できる業務改善助成金について解説します。
中小企業や小規模事業者が、日々のルーティン業務効率化や生産性アップのためのITツール導入をサポートする補助金です。ITツールといっても幅広いですが、ソフトウェア費やクラウド利用料(最大1年分補助)、導入関連費等に活用できます。 IT導入補助金のうち、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する場合に、その一部が補助されます。POSレジ導入も補助金対象となるため、補助を受けられる可能性があります。
会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどを導入する中小企業や小規模事業者が受給対象です。
補助額は、(下限なし)~350万円となっています。
IT導入補助金の申請の流れは、主に次のような手順となります。
参考:IT導入補助金2023(一般社団法人 サービスデザイン推進協議会)
補助金の取得には、IT事業者との協力が必要なうえにgBizIDプライムのアカウント取得に3週間程度かかるとされているため、余裕をもって準備する必要があります。
POSレジ導入に活用できる業務改善助成金について解説します。
販路開拓や生産性向上の取組に必要な経費の一部を支援してくれる制度です。販路開拓が目的にはなりますが、生産性向上も目的の一つとなるため、POSレジの導入も対象となることが見込めます。
原則として20人以下の法人もしくは個人事業主という条件があるため、主に小規模事業者が対象となります。
補助率は、かかった経費の2/3です。補助上限額は、50万円となっています。
小規模事業者持続化補助金の申請の流れは、主に次のような手順となります。
申請後の審査で交付の可否が決定するため、交付された場合は計画書通りに事業を実施し、結果を報告する必要があります。そのため、その他の補助金同様に申請許可が下りてからPOSレジを導入するようにしましょう。
POSレジ導入に活用できる業務改善助成金について解説します。
生産性向上を目的とする革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
日本国内に本社や補助事業の実施場所を有している中小企業、特定非営利活動法人、社会福祉法人、個人事業主などが対象です。事業規模によって対象外になる可能性もあるため、事前に詳細を確認しましょう。
通常枠における補助金額は、以下のようになっています。 【従業員数】 5人以下:100万円~750万円 6人から20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円
ものづくり補助金の申請の流れは、主に次のような手順となります。
参考:ものづくり補助事業公式ホームページ | ものづくり補助金総合サイト
申請書類の作成を行う際には、事業計画や導入設備の効果、販路や資金計画などと言った複数の項目を細かく記載する必要があるため、自社だけではなく設備の販売企業や取引先などと相談しながら作成することになります。
POSレジ導入に活用できる働き方改革推進支援助成金について解説します。
労働時間の短縮のための設備や機器の導入や、労務環境改善のためにコンサルティングを依頼した場合に、経費の一部が助成される制度です。受給するには成果目標を自社で定め、達成する必要があります。
労働者災害補償保険の適用事業主であるなどの受給要件を満たす中小企業が対象です。
取り組みにかかった経費の一部を、成果目標の達成状況によって支給します。
基本的には対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた金額を助成し、上限は100万円です。
働き方改革推進支援助成金の申請の流れは、主に次のような手順となります。
参考:厚生労働省 |働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)
申請し、交付が決まったのちに、事業においての運用状況や労働環境の変化などをしっかりとまとめることが大切です。再度、受給手続きの申請が必要となるため、忘れずに行いましょう。
各補助金・助成金申請の方法と流れについてはご紹介しましたが、大切なのは申請期日を守ることです。
申請書類の作成を行う際には、事業計画や導入設備の効果、販路や資金計画などと言った複数の項目を細かく記載する必要があるため、自社だけではなく設備の販売企業や取引先などと相談しながら作成することになります。
そのため、書類作成や用意に時間がかかるため、余裕をもって準備を行いましょう。
POSレジ導入時に補助金を活用する際には、注意しておくべき点もあります。これから解説する注意点を把握できていなければ、結果的に補助金を受けられなくなる可能性もあるため、事前に理解しておくことが重要です。
補助金によって、対象となる条件が異なります。そのため、自社が条件を満たしているかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
あとから条件に当てはまらないと気づいても、申請準備にかけた時間が徒労に終わるだけでなく、POSレジの導入も遅れてしまうでしょう。
細かな条件が複数設定されている場合もあるため、すべての条件に当てはまっているかを確認しましょう。年度によって条件が異なる場合もあるため、必ず事前に確認が必要です。
また、複数の中小企業者が連携して応募できる補助金として、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)などもあります。そうした補助金の場合、補助対象が商工団体等などの団体になっているため、補助金申請の代表補助事業者だけでなく、組合などの参画事業者である中小企業も対象となります。
補助金申請を行う際には、手続きの順番が決められています。申請・審査を行った後でPOSレジを導入する流れとなるため、申請前や審査前にPOSレジを先走って購入しないようにしましょう。
また、必ずしも申請が通るというわけではないため、仮に先にPOSレジを購入してしまうと全額費用負担をしなければいけないということにもなりかねません。
そのため、POSレジの導入にかかるコストを抑えるという意味でも、審査結果が確定してからPOSレジを購入することが大切です。
助成金に関する内容や条件は年度ごとに異なる場合があります。そのため、補助金申請をする際には最新の情報を収集することが大切です。
内容や条件だけでなく、公募期間も異なる場合があります。過去の公募期間で申請準備を進めてしまうと、申請ができなかったり次の公募期間まで待たなければいけなかったりということも考えられるでしょう。
補助金申請を行う際には、窓口に問い合わせるなどして最新の情報を収集したうえで、前もって準備を進めることが重要です。
それでは最後に助成金・補助金を活用したPOSレジ導入事例をご紹介します。POSレジ導入の参考にしてください。
ものづくり補助金を活用してPOSレジを導入したのが、秋田県にある「ナガハマコーヒー株式会社」です。
個人顧客向けの事業部と法人顧客向けの事業部の会員情報の連携ができていなかったため、POSシステムを搭載したレジの導入を検討。その際にものづくり補助金を利用されました。 POSレジを導入したことで事業部間の情報共有がスムーズにできるようになったことで、適切な販促や顧客対応につながっています。
IT導入補助金を活用してPOSレジを導入したのが、山口県にある「アミックスハラダ」という美容室です。
電話予約とWeb予約を併用していましたが、管理がうまくできずダブルブッキングが発生してしまっていたことで、予約管理機能を搭載したPOSレジを導入しました。POSレジを導入したことで、予約管理がスムーズにできるようになっただけでなく、顧客情報を確認できるようになったことで、顧客へのサービスが向上しました。
出典:経済産業省|中国地域におけるIT導入補助金活用事例集「(株)アミックスハラダ【美容業】<令和元年度補正【通常枠】A類型(臨時対応)>」
POSレジを導入する際に、導入コストがネックとなることも十分に考えられるでしょう。しかし、補助金制度を上手に活用することで導入コストを大幅に抑えることができます。
補助金にはさまざまな種類がありますが、その内容や応募条件を正しく理解したうえで活用してみてはいかがでしょうか。 POSレジの選び方やPOSレジを購入するメリット・デメリットについては以下の記事をご覧ください。
参考記事:POSレジの選び方とは?業種別のPOSレジの特徴や専門レジをご紹介
参考記事:POSレジは購入すべき?メリット・デメリットも徹底解説
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