決済作業の自動化が図れる「セルフレジ」。セルフレジはお客様自身で商品の読み取りから決済を行う無人レジであり、スーパーやコンビニだけでなく飲食店でも活用されています。
新型コロナウイルスの影響を受け近年急速に普及し始めていますが、導入前にはセルフレジへの理解を深めておくことが重要です。
そこで本記事では、セルフレジの基礎概要、導入するメリット・デメリットを解説していきます。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、セルフレジのデメリットについて説明しています。主な懸念点は、操作の難しさや、技術に不慣れな顧客への対応が挙げられます。また、セルフレジ導入後のトラブルシューティングや、スタッフのサポート不足が顧客満足度に影響を与える可能性があることも指摘されています。このような課題を考慮しつつ、適切な導入を検討することが重要です。
セルフレジとは、お客様自身で商品の読み取りから決済を行うレジのことです。有人レジにおいては、業務の煩雑さからレジ作業効率の低下やミスの発生などの課題が多くありました。これらの課題解決が可能なこれまでの「自動精算機」は食券などの購入はできたものの、バーコードの読み取りや複雑な操作はできませんでした。
一方でセルフレジの場合、食券の購入だけでなくあらゆる操作が可能になり、スタッフが一切かかわることなく商品の購入が完結するため、スタッフの負担を大幅に削減できます。
また、商品の読み取りをスタッフが行い、決済についてはお客様が担当するセミセルフレジという種類もあります。セミセルフレジはセルフレジとは異なり、お客様1人で商品の購入を完結できません。
セミセルフレジの場合は、商品の読み取りに慣れているスタッフが対応するため、セルフレジに比べてレジの混雑を回避しやすい傾向があります。
スーパーやコンビニだけでなく、いまでは飲食店などあらゆる業界でセルフレジが活用されていますが、国内におけるセルフレジはどの程度普及しているのでしょうか。
「一般社団法人 全国スーパーマーケット協会」が2021年に行った「スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、全278社のスーパーマーケットを所持する企業におけるセルフレジ設置率は23.5%と20年の15.8%から7.7%増加しました。
保有店舗数別では51店舗以上の企業における設置率は1年で45.5%から70%、大規模店舗中心型の設置率は40%から50%となっています。また、セミセルフレジの設置率も64%から72%という高い普及状況を確認できました。
なお、セルフレジの利用率は「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」が2019年に調査しており、コンビニのセルフレジ使用率は6.5%、スーパーマーケットでの使用率は35.4%という結果が出ました。
このように、全体でみるとセルフレジの普及状況は一年間で大きく変化しました。また、今後もさらに普及状況や利用率は上昇していくでしょう。
セミセルフレジでは、通常レジと同様に商品の読み取りをスタッフが行いますが、レジ決済についてはお客様が担当するというレジシステムです。そのためセルフレジとは異なり、お客様1人で商品の購入を完結できません。
なお、このセミセルフレジは商品の読み取りに慣れているスタッフが対応するため、セルフレジに比べてレジの混雑を回避しやすい傾向があります。
セミセルフレジについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
国内におけるセルフレジは年々普及していますが、セルフレジを導入する際にはメリットやデメリットがあります。セルフレジの導入を検討中の方は、事前に理解しておきましょう。
会計作業が自動化されることで、キャッシュレス決済などの多様な支払方法への対応も不要になります。また、店員による釣銭の渡し間違えなどの会計ミスを防止できます。
お金に関する作業は煩雑かつ責任が重いため、会計・決済作業が自動化できると、従業員のストレスの軽減にもつながるでしょう。スタッフの作業を減らせると、利用客へのサービスに注力できるようになるため、顧客満足度の向上も期待できます。
会計業務の自動化により、会計にかかる時間を短縮できます。レジ待ち時間の短縮につながることで、顧客満足度を高められる可能性があります。
会計や決済にかかるレジ業務を効率化できることで、余分な人件費削減が期待できます。また、直感的な使用が可能であることから、新人教育も簡易化でき、見えないコストの低減にもつながるでしょう。
顧客に会計をしてもらうことで、レジの台数を増やすことができ、レジの回転率の向上につながります。レジ待ちによる混雑が解消されると、感染症対策や顧客満足度向上になるでしょう。
セルフレジは、従来のレジではなく新しく導入する必要があるため、初期費用がかかります。そのため、導入する形態や料金プランについて提供会社に相談して取り組むことがおすすめです。
長期的に考えると、ほとんどの場合、導入効果を実感できるため、前向きに検討してみるとよいでしょう。
セルフレジ導入により、システムを利用したり、メンテナンスしたりと運用するための費用がかかる可能性があります。
初期費用と運用コストが適切かどうかを確認するために、複数の提供会社の見積もりを取って比較してみることがおすすめです。
セルフレジはシステムと一体化しているため、設置スペースを確保する必要があります。混雑する可能性もあるため、顧客がストレスを感じないように少し広めを意識することが大切です。
特に、小売店などにおいては、商品の入ったカゴを置くスペースも必要であるため、実機デモで試せる提供会社を選択することがおすすめです。
小売店や飲食店などの人手不足が進んでいる店舗では、セルフレジを導入することで決済の自動化が図れるため、繁忙時の回転率が上昇し売上アップを見込めるようになります。
一方で大きくコストが発生する場合もあるので、店舗の規模感にあわせて判断する必要があります。
店舗側のメリット・デメリットに続いて、お客様側のメリット・デメリットをみていきましょう。お客様視点で考えることにより、セルフレジを導入すべきか適切な判断ができるようになります。
従来のレジを使用していると、従業員や別のお客様を待たせないように、急いで会計の準備をするお客様が多くいるのではないでしょうか。
セルフレジを導入すると、自分のペースで決済でき、急がなければいけないというストレスの軽減につながるでしょう
逆に、急いで会計を済ませたいときにも、セルフレジがあればできる限り早く決済できます。有人レジもある場合には、より早く決済できる方を選択できるため、お客様に寄り添った対応が可能です。
セルフレジは、現金、クレジットカード、アプリ、バーコードなどさまざまな支払方法に対応できるため、お客様が支払方法を自由に選択することができます。
競合他社と似たような商品を取り扱っている場合、利便性の高い店舗で購入したいと考えるお客様も多いため、支払い方法を選択できるかどうかは店舗運営においても重要なポイントとなるでしょう。
レジ待ちの時間が減ることで、決済にかかる時間の短縮につながります。スムーズな購買体験は顧客満足度の向上につながります。
決済までの待ち時間が多いと、購買機会の損失につながる可能性もあるため、できる限り解決したい課題といえるでしょう。
感染症の流行により、できる限り接触を避けたいお客様が増えています。セルフレジを導入すると、自身で決済を完結できるため、安心感を与えられるでしょう。
導入してすぐの間は、セルフレジの使用方法に戸惑うお客様もいるでしょう。特に、機械を苦手と感じやすい高齢のお客様が多い場合には、購買機会の損失につながる可能性があります。
決済の時間を、お客様とスタッフとのコミュニケーションの場として活用している企業もあるでしょう。
しかし、セルフレジを導入した場合にも、サポートスタッフを配置するなどしてコミュニケーションを保つことができます。また、商品やサービスの購入に対して悩んでいるお客様に対する接客時間を増やすなど、新たなコミュニケーションの機会を設けることで対策してください。
小売店では商品のスキャン登録がありますが、飲食店の場合には各商品をスキャンすることができないため、注文商品の合計がレジに表示されます。
そのため、不正会計の心配がなくお客様からしても安心して利用することができます。
ここでは、セルフレジの導入を検討している方がより明確にイメージできるために、成功しているセルフレジの導入事例をご紹介します。
セルフレジの導入における成功事例1つ目は西鉄ストアです。西鉄ストアは店舗が駅近という好立地にあるため、お客様のレジ待ちによる課題を抱えていました。そこでセミセルフレジである「スピードセルフ」を導入したことにより、長年悩んでいたレジ待ちによる行列を解消できたのです。
「スピードセルフ」はスタッフが商品を読み取り、決済はお客様自身で行うというものです。導入後は夕方のレジ待ち行列は激減し、商品の読み取りと決済をスムーズにしています。
セブンイレブンは2020年9月から、商品の読み取り以外の決済部分をお客様に行ってもらうセミセルフレジ「お会計セルフレジ」を導入し始めました。
セルフレジを導入したことにより、レジ接客に要する時間短縮や作業効率化を実現しています。また、スタッフが現金を一切触らないため、新型コロナウイルス対策としても効果を発揮しています。
なお、2021年8月までに全エリアへの導入を完了させる計画が立てられており、この取り組みは「お客にとってのより快適な買物環境、および店舗従業員にとって働きやすい店舗の実現に向けた取り組みの一環」だとされています。
マルエツは2020年11月からスマホ決済システムである「スキャンアンドゴー・イグニカ」を本格的にスタートしています。
「スキャンアンドゴー・イグニカ」は専用アプリを用いることで、お客様のスマートフォンから商品の登録や決済といった一連の流れを行えます。不必要な接触を回避できると同時に、買い物時間の短縮を実現しました。
セルフレジの成功事例がある反面、導入したことでトラブルが起こった事例もあります。
ユニクロのセルフレジでは、商品についているICタグを認識して決済を行いますが、見ず知らずの商品のICタグが衣服のポケットに紛れ込んでいた、というケースが発生しました。これにより、「見覚えのない商品を買いかける」という体験談が数多く発見されています。
また、ファミリーマートなどで採用されているフルセルフレジでは、お客様自身で商品の購入を完結させるため、万引きの被害が懸念されています。
これらセルフレジの導入によるトラブルは、日々のオペレーション改善が重要だとされており、店舗側とお客様の両方が安心してセルフレジを利用できるように注意深く確認していくことが重要です。
セルフレジを導入するデメリットの解決策について解説します。導入を検討している企業の方は、参考にしてみてください。
導入コストやランニングコストが心配な企業の方は、提供会社の料金プランを確認しましょう。企業がPOSレジを導入・運用しやすいようにさまざまな料金プランを用意している提供会社もあります。
例えば、同じPOSレジを導入するとしても、購入かレンタルかによって、必要なコストや支払い方法が変わってきます。購入する場合には、初期費用は高くなりますが、月額料金は必要ないでしょう。レンタルの場合には、初期費用が無料ではじめられる場合がありますが、月額料金がかかってきます。
このように、料金プランを複数準備している提供会社の場合、自社に適した料金プランを選定することができ、導入における負担を軽減できるでしょう。
また、お見積りのシミュレーションをホームページ上で行える提供会社もあります。CASHEIRにおいても無料で利用していただけますので、ぜひ参考にしてください。
セルフレジの導入が、お客様の手間になると心配されている企業の方は、導入前後のケアを十分に実施することで解消できるでしょう。
導入前には、従業員に使用方法のレクチャーやお客様へのサポートの仕方を教育します。新しくマニュアルやルールを設定することで、お客様にスムーズな対応が可能になるでしょう。
導入後には、セルフレジのエリアにスタッフを多く配置し、積極的に声がけを行うことで、お客様へのフォローを実施します。
セルフレジの導入により、これまでと異なる購買体験となります。企業にとってもお客様にとってもプラスの体験になるように、しっかりと計画立てて導入することがおすすめです。
新型コロナウイルスの影響を受け2020年から2021年の1年間で、セルフレジはより一層普及し始めています。セルフレジを導入することで、店舗側とお客様にあらゆるメリットを生み出す一方で、デメリットやトラブルも起こりうるため、導入前にしっかりと理解を深めておくことが重要です。
以下の記事で、セルフレジの仕組みや種類について解説していますので、あわせてご覧ください。
参考記事:セルフレジの仕組みと導入前に知っておくべきメリットとデメリットを解説
なお、株式会社ユニエイムがご提供するCASHIER POSは、セルフオーダー・セルフレジのプラットフォーム型サービスです。店舗におけるスムーズな注文と会計を実現するだけでなく、未来の店舗運営を目指すことができます。
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