クラウド型POSレジは旧来のレジと比較して何が優れているのでしょうか。クラウド型POSレジは従来のPOSレジよりも導入しやすい点が特徴となります。
そこで本記事では、クラウド型POSレジの概要や導入メリット、また選定時の比較ポイントについて詳しく解説していきます。
この記事でわかること
▶︎POSレジ導入のメリットと効果:店舗運営を効率化する最新トレンド
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、クラウド型POSレジの特徴や導入メリットについて解説されています。クラウド型POSは、データをオンラインで管理でき、リアルタイムでの在庫確認や売上分析が可能です。導入コストが低く、ハードウェアのメンテナンスが不要なため、特に小規模店舗に適しています。また、複数店舗の一元管理がしやすく、効率的な運営が実現できます。
クラウド型POSレジとは、機能性は従来のPOSレジと変わりませんが、データの保存場所がサーバーではなくクラウド上にあるPOSシステムを搭載したレジです。
従来のPOSレジシステムは、サーバーを設置することで運用が可能ですが、クラウド型POSレジの場合、データをクラウド上に保存できるアプリケーションを使用します。
そのため、インターネット環境が整っていれば、パソコンやタブレットなどにアプリをインストールするだけで利用できるという特徴があります。よって、タブレットPOSレジと呼ばれることもあります。
クラウドPOSレジには、さまざまな便利機能が搭載されています。主な機能は以下のとおりです。
それぞれの機能について解説します。
クラウドPOSレジの「商品管理」機能では、商品情報(商品コード、商品名、販売価格など)の登録・一元管理が可能です。さらに、商品の原価設定や、シーズン・イベントに応じた価格変更、期間限定商品の登録にも対応しています。
たとえば、夏のセール時に一部商品の価格を即時変更して反映したり、新商品の情報を追加登録してスタッフ全員が同じ情報で接客できたりします。商品管理機能をうまく活用することで、戦略的な販売施策を実行しやすくなるでしょう。
在庫管理は、リアルタイムで在庫状況を確認できる機能です。在庫状況を常に把握できるため、在庫切れや過剰在庫の心配が減ります。また、入出庫や販売による在庫変動履歴を追跡できるため、売れ筋や季節変動を考慮した仕入れ計画が可能です。
また、複数店舗間の在庫移動や棚卸し作業を効率化する機能も備えており、多店舗運営でも在庫を最適化できます。在庫管理は、欠品による販売機会の損失や不必要な在庫コストの発生を防ぎ、スムーズな店舗運営を支援する便利な機能です。
売上管理機能では、常に最新の売上データを自動集計し、経営判断を素早く行えます。日別・商品別の集計に加え、曜日別・時間帯別・客層別など多角的に分析できるため、繁忙時間や売れ筋商品、主要なターゲット層の把握が容易です。
たとえば売上管理機能を活用すれば、家族連れの多い時間帯に合わせてセット商品を割引するなど、データに基づく戦略を実行できます。長期的な傾向分析にも役立つため、売上アップにつながる施策を計画的に実行できるようになるでしょう。
クラウドPOSレジの顧客データ管理は、氏名・連絡先・来店履歴・購入履歴などの顧客情報を一元管理できる機能です。常連客の好みや購買傾向を簡単に把握できるようになり、リピーター獲得や客単価向上につながる施策の立案に繋げられます。
たとえば、誕生日月に特典クーポンを配信したり、過去の購入履歴からおすすめ商品を提案したりといった提案が可能です。また、情報がクラウドで共有されるため、複数店舗やスタッフ間でもスムーズに共有できるのも大きなメリットです。
キャッシュレス決済機能は、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など多様な決済手段と連携できる機能です。従来のPOSシステムは、POSレジとキャッシュレス決済機能を別々で運用する必要がありました。
クラウドPOSレジと決済端末を連動させることで、決済情報をPOSシステム側で一元管理できるようになります。結果として、金額入力の手間・二度打ちによるミスを防ぎ、顧客の待ち時間短縮やレジ締め作業の効率化も期待できます。
現代のキャッシュレス化の流れに対応した必須機能といえるでしょう。
クラウドPOSレジの勤怠管理機能は、パートやアルバイトを含む全従業員の出退勤時刻やシフトなどを管理する機能です。従来はExcelなどで管理したり、別の勤怠管理システムを導入したりする手間がありました。
しかしクラウドPOSレジの勤怠管理なら、設置する機器が少なく済み、出退勤データが自動で集計され、残業時間や総労働時間の算出も容易です。シフト作成もシステム上で行えるため、スタッフの勤務予定や希望を反映したシフトを短時間で作成できます。
クラウドで情報を共有できるため、多店舗展開している場合でも勤怠管理ができる点は魅力といえるでしょう。
座席管理機能は、飲食店の空席状況をリアルタイムで把握できる機能です。予約状況や利用中の座席情報が一目で確認できるため、ピーク時でも混乱を避けた効率的なオペレーションが可能となります。
さらに、テーブルごとのオーダー情報と座席を紐づけて管理でき、注文内容がレジや厨房プリンタへ自動で共有されます。そのため、オーダーミスを大幅に削減し、提供スピードを向上させることも可能です。
飲食店にとって、顧客満足度の向上と回転率アップの両方を実現できる重要な機能といえます。
ハンディ(オーダーエントリーシステム)は、ホールスタッフが注文内容をハンディ端末に入力し、その情報を瞬時に厨房へ送信できる機能です。従来のような、注文用紙の手書きや口頭伝達に伴う聞き間違い・書き間違いが発生しにくくなります。
また、厨房側はリアルタイムで注文状況を把握できるため、調理の順序や配膳のタイミングを最適化できる点がメリットです。結果として、提供までの時間が短縮され、お客様満足度の向上にもつながります。
忙しい時間帯でも効率的かつ正確に対応できるため、飲食店の運営において欠かせない機能といえるでしょう。
複数店舗管理機能は、各店舗の売上、在庫、人員配置などのあらゆる運営データをクラウド上で一元管理できる機能です。本部は全店舗の状況をリアルタイムで把握できるため、全体を俯瞰したうえで迅速かつ的確な意思決定が可能になります。
たとえば、余剰在庫を抱える店舗から、不足している店舗へ商品を移動させるといった在庫の最適化にも役立ちます。また、各店舗のデータを比較・分析すれば、それぞれの店舗の課題や成功要因を明確化し、マーケティング戦略に反映することも可能です。
店舗管理が複雑化する多店舗経営者にとっては、クラウドPOSレジの複数店舗管理が非常に役立つ機能となるでしょう。
では、具体的に従来のPOSレジと比べて、クラウド型POSシステムを搭載したレジの場合、どのような違いやメリットがあるのでしょうか。
サーバーの設置が不要なため、導入コストを抑えられるという特徴があります。従来のPOSレジではサーバーや必要な機器を用意する必要があり、コストも別途かかります。
一方、クラウド型POSレジでは、サービス使用料とPOSレジとして使う端末の導入費用のみと、大きくコストを削減できるのです。
従来のPOSレジは、操作ボタンや手順が複雑なものが多く、スタッフ教育に時間がかかったり、ミスをした際の修正作業に時間がかかったりするなどのデメリットがあります。
一方でクラウド型POSレジは、普段から使い慣れているパソコンやタブレット、スマートフォンを使用するため、簡単に使えるという特徴があります。そのため、このメリットを活かすためには、使用する端末をスタッフの馴染みがあるものを選ぶと良いでしょう。
また、スタッフ教育の時間を短縮することは、結果的に人件費というコストの削減にもつながります。
従来のPOSレジは、サーバーなどの機器を設置する必要があります。小さな店舗や店内のレイアウト変更が難しい店舗など、設置が必要なことで導入が困難なケースもあるでしょう。
クラウド型POSレジの場合は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの小型端末を使用するため、場所を取らずにコンパクトなレジ環境を作れます。
レジスペースをコンパクトにすることで、客席を増やしてお店の回転率を上げるなどの店舗スペースを有効活用できるようになります。小さな店舗でも利用できるほか、内装のデザインを邪魔しません。
従来のPOSレジに比べて、コスト面や操作性の観点では優れている点も多いクラウド型POSレジですが、注意すべき点もあります。そのため、導入前にしっかりと注意点を理解しておくことが大切です。
クラウド型POSレジは、サーバーを設置せずにクラウド上のサービスを利用するため、インターネット環境があることを前提となります。
そのため、停電や故障などインターネット環境の不具合が起きると、システムが使用できなくなってしまうというリスクもあるのです。 最悪の事態として、業務を行うことができなくなり店舗経営に大きな支障が出る場合があります。
システムが使用できなくなってしまった時に備えて、緊急時対策を考えておくなどの事前準備をしておくことも重要です。 また、近年ではオフライン機能のあるPOSレジもあるため、導入時の選択肢として検討しても良いかもしれません。
クラウド型POSレジでは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末を使用しますが、これらの端末に対するリテラシーが低い場合は、使い慣れるまでに時間がかかってしまうことが考えられます。 その場合、システム障害が生じた際の迅速な対応をするのは困難でしょう。
そのため、導入をする際には、使用前にスタッフ教育をしておくなどの対策をしておく必要があります。スタッフ教育に時間がかかればかかるほど人件費が発生するということをしっかりと理解しておきましょう。
では、実際に導入する際にはどのような基準で選べば良いのでしょうか。ここでは、POSレジを選ぶ際の比較ポイントをご紹介します。
まずは、店舗で抱えている課題を解決できるかという観点で選ぶことが重要です。
たとえば飲食店で、オーダーをレジに反映させる際にミスが多く、レジ締めの際に売上金額が合わないという課題があるとします。この場合に、オーダーエントリーシステムを備えている飲食店向けのPOSレジ導入をすることが課題解決のための観点からの選択といえるでしょう。
このように、自店舗の課題を明確にしたうえで、業務改善を実現できるPOSレジであるかどうかを確認することが重要です。
飲食店や美容院向けなど、特定の業界や業種に特化したPOSレジがあります。これらのPOSレジは、その業界や業種の業務に合わせた機能が備えられているため、より自店舗に合っているPOSレジを選択できるでしょう。
また、自由度の高いPOSレジのサポート会社を選ぶことで、自店舗に合った機能をカスタマイズして対応することも可能です。
たとえば同業他社が取り入れていない新サービスを自店舗で行いたい場合に、特化型のPOSレジには記載されていない機能があるかもしれません。
その場合には、カスタマイズの自由度が高いサポート会社のPOSレジを選択することで、対応が可能になるでしょう。
POSレジは他システムと連携することで、より効果的に活用することができます。
POSレジの種類によっては、システム連携ができない場合があります。そのため、自社で使用している他システムがある場合は、外部システムとの連携に対応しているかを確認することが重要です。
また、POSレジ側だけではなく、連携させたいシステム側でも連携が可能かどうかを確認しておく必要があります。決済サービスや会計ソフト、従業員管理、顧客管理など、店舗の課題解決に役立つため、周辺機器やサービスと連携できるかをチェックしてみましょう。
クラウドPOSレジはメーカーごとに機能や特徴、料金体系が大きく異なります。店舗の業種や規模、導入目的に応じて最適な製品を選ぶためには、複数サービスを比較することが重要です。
以下の表では代表的なクラウドPOSレジ5社を紹介します。
製品名 | 業務改善 | 特定の業界 業種への対応 | 外部システム との連携 | おすすめポイント | 導入費用 | おすすめの店舗 | 公式サイト |
CASHIER | ◎ | ◎ (飲食業、 小売業、 レジャー業など) | 〇 | ・多様なハードウェア連携による省人化・効率化が可能 ・高機能でも簡単で使いやすい ・ニーズに合わせて自由自 在にカスタマイズ対応が可能 | 初期費用:128,000円~ or レンタル 8,400円/月~ 月額: 0円~ | ・セルフレジや券売機を導入し、省人化・効率化をパワフルに進めたい店舗 ・飲食店、小売店など、専門的な機器が必要な店舗 ・導入費用を抑えたい小~中規模店舗 | |
Square | △ | △ | 〇 | ・最短当日から利用可能 ・API連携に強く、手軽に始められる ・実店舗だけでなくオンライン決済にも対応 | 初期費用: 0円~ 月額:0円~ 決済手数料: 3.25%~ | ・個人事業主、小規模店舗 ・イベントや催事出店を考えている事業者 ・手軽にキャッシュレス決済を始めたい店舗 | |
スマレジ | 〇 | ◎(飲食店、 アパレル、 クリニックなど) | 〇 | ・豊富なアプリから自由に追加できる ・連携できる外部サービスが多い ・複数店舗間の連携もスムーズに行える | 初期費用例:249,240円(周辺機器代) 月額: 0円~15,400円 | ・アパレルや小売店(高度な在庫管理が必要) ・飲食店(オーダーエントリーシステムが必要) ・将来的な事業拡大を見据えている店舗 | |
Airレジ | 〇 | △ | 〇 | ・「Airシリーズ」との連携で業務改善の幅が広がる ・操作がシンプルで分かりやすい | 初期費用例:113,120円(周辺機器代) 月額:0円~ | ・コストを最優先で考えたい個人事業主・小規模店舗 ・リクルートの他サービス(予約・決済等)を併用したい店舗 | |
ユビレジ | 〇 | △ | 〇 | ・シンプルで直感的な操作が可能 ・ハンディ機能が強力で、オーダー業務の効率化に大きく貢献 ・豊富な分析機能が魅 | 初期費用:周辺機器代 月額:6,900円~ | ・レストラン、居酒屋、カフェなどの飲食店 ・シンプルな操作性を求める店舗 ・データに基づいた運営を行いたい店舗 |
注)
◎:非常に優れている/強みが大きい
〇:平均以上に対応できる/十分な機能がある
△:やや弱い/限定的な対応にとどまる
金額について
表に記載の金額は基本プランの目安です。店舗規模やオプションの追加により月額は変動します。また、レシートプリンターやキャッシュドロワーなどの周辺機器、利用する決済代行サービスによっても費用は異なるので注意してください。
ハードウェアについて
Square、スマレジ、Airレジ、ユビレジは、主にiPadをPOS端末として使用します。その場合、iPad本体はご自身で用意しなければなりません。各社サイトには動作確認済みの推奨機種が案内されていますので、必ずご確認ください。
無料プランの範囲について
月額0円で利用できる無料プランは、基本的な会計機能に限られる場合が多いです。在庫管理や顧客管理、ハンディ機能などの機能は有料プランでの提供となります。「無料でできること」と「有料でしかできないこと」を事前に確認することが重要です。
クラウドPOSレジは、業種や業態ごとの課題やニーズに応じて柔軟に活用できる点が大きな魅力です。ここでは、クラウドPOSの導入事例を業種別で紹介します。
「Cafe & Sweets Patisserie 柚子」では、注文や会計の効率化が不十分で、接客時間や会計処理に無駄が生じていました。CASHIER導入後は、席から注文できるスマホオーダー機能により、ホール業務の負担が大幅に軽減。
QRコードを読み取ってお客様自身が注文できるため、配膳までのスピードが上がり、スタッフは製造や接客に専念できています。さらに、レシートデザインのカスタマイズ機能で店舗ブランドを演出でき、会計時の印象をアップできるのもCASHIERならではです。
機能面・コスト面に加え、サポート対応への満足度も高く、運営全体の効率化とサービス品質向上を同時に実現できています。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
が多く、以前は簡易的で安価なレジを使用していました。しかし、店舗数の増加に伴い在庫管理が難しくなり、棚卸の頻度が少なかったこともあって棚卸誤差が頻発。
複数店舗の在庫を効率よく管理するためにCASHIERを導入しました。導入時には面倒な商品登録をすべて代行してもらえたほか、丁寧な操作レクチャーを受けられたことで、届いた翌日には運用を開始できるほどスムーズな立ち上げが実現できています。
CASHIERの直感的な操作性は、スタッフがすぐに使いこなせる点も大きな魅力です。また、3店舗間の在庫状況をリアルタイムで確認でき、ワンタッチで店舗間の在庫移動登録ができるようになりました。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「市ヶ谷フィッシュセンター」では、レジの寿命を機にセルフレジと自動釣銭機を導入しました。導入前は、スタッフが商品スキャンから会計までを行う従来型POSレジを使用しており、ボタンやメニューが多く、現場スタッフが操作に迷って会計時間が延びることが課題でした。
現金対応とキャッシュレス専用のセルフレジを用途別に配置し、お客様自身が人数や利用時間をバーコードスキャンして会計できる仕組みを構築。初期費用を抑えつつ低いランニングコストで導入できた点も評価されています。
また、来場者は常連の高齢者からファミリー層まで幅広いですが、CASHIERのシンプルで見やすく操作しやすい画面により、スムーズな利用が可能になっています。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
様々な出店者様がいるという特性上、各店がバラバラな会計方法で対応という運用でした。イベントごとに出店者が入れ替わるため固定レジは不向きで、「バーコード販売」と「カテゴリ打ち」の両方式に対応できる可搬性の高いPOSが必須でした。
CASHIERのPOSはこの両方式に対応可能で、出店形態や商品の特性に応じた柔軟な会計運用が実現できる点に高い評価をいただいています。経理処理や締め作業も効率化され、出店者側も自身の売上を即時に把握できるようになったことで、催事全体の業務効率と満足度が大きく向上しています。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
従来のPOSレジとは異なり、クラウド型POSレジは手軽に導入できるというメリットがあります。一方で、インターネット環境がなければ使用できなくなるなどの注意点もあるため、導入前からしっかりと対策を考えておくことが重要です。
クラウドPOSレジは、初期費用が安価な場合や不要な場合が多く、従来のPOSレジに比べて導入しやすくなっているため、この機会に検討してみても良いかもしれません。
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