セルフレジとは、お客様自身が会計時のレジ操作の一部または全部を行うPOSレジシステムのことです。決済方法の多様化によるレジ業務の複雑化やコロナ禍での衛生面への配慮などを理由に、小売店や飲食店を中心に導入が進んでいます。
そこで本記事では、セルフレジの導入が増えている背景や導入方法、店舗にもたらすメリット、導入価格の相場、企業の導入事例について解説します。
【今回のコラムをざっくりまとめると…】
この記事では、セルフレジ導入のメリットと手順を解説しています。セルフレジは、人件費の削減や業務効率の向上を実現し、顧客満足度向上にも寄与します。導入の際は、店舗の規模や運用方法に合ったシステム選定が重要です。事前の準備やスタッフの教育も成功のカギとなります。
少子高齢化によって、サービス業界では人手不足が慢性化しています。
この人手不足によるサービスの質や売上の低下を解決するべく、通常レジと異なり、1台につき1人のレジ担当者が不要なセルフレジの導入をして業務効率化を図る企業が増えているのです。
セルフレジを導入することは、店舗側だけでなく利用者である顧客側にもメリットがあります。自動精算機による非接触決済が可能になると、感染症対策や多言語化、キャッシュレス決済などに対応できるため、顧客からのニーズも高まっています。
このように企業側、顧客側のニーズを満たすべく、セルフレジを導入する企業が増えているのです。人手不足対策として、セルフレジが機能するためのポイントについては以下の記事をご覧ください。
参考記事:セルフレジは人手不足解消になる?導入の課題と失敗しないためのポイントを解説
2022年スーパーマーケット年次統計調査報告書によると、スーパーマーケットでのフルセルフレジの設置率は25.2%、セミセルフレジの設置率は75.1%と年々増加傾向です。
今後の設置に前向きな企業も増加傾向であることから、今後もセルフレジを導入する企業は増加することが予想されます。
ドラッグストアでは新型コロナウイルスの流行後、より感染症対策が求められるようになり、非接触型で会計できるセルフレジの普及が進んでいます。
また、セルフレジを導入することで、キャッシュレス決済への対応もできることから、お客様の利便性も向上します。こうした流れを受け、最近では薬局向けPOSレジや調剤薬局専用POSレジも販売されるようになっています。
ドラッグストア・薬局でセルフレジを導入するメリット・デメリットの詳細は以下の記事をご覧ください。
関連記事:ドラッグストア・薬局でセルフレジを導入するメリット・デメリットを解説
最初にセルフレジの導入方法を手順に沿って解説します。セルフレジのスムーズな導入にお役立てください。
セルフレジを導入する際は、事前に設置スペースを確保しましょう。セルフレジは有人レジと比較すると省スペースではあるものの、操作時に買い物カゴを置く場所など一定の空間が必要になるためです。スペースが狭かったり、動線が不十分だったりするとお客様から不満が寄せられる可能性があります。
また、運用マニュアルの作成もこの段階で行っておくと安心です。特に有人レジから無人レジに変更する場合は、操作性が大きく変わるため、FAQを作成するなど運用後のトラブル防止に努めましょう。
セルフレジは、お客様が行う作業に合わせて3種類に大別できます。
フルセルフレジ
セミセルフレジ
レジレス
フルセルフレジは、商品バーコードのスキャンから自動釣銭機へのお金の投入までを、すべて消費者が自分で行うタイプです。コンビニやスーパー、レンタルショップ、飲食店、アパレルショップなどで導入が進められています。
セミセルフレジは、決済のみをお客様が行うレジシステムで、商品バーコードのスキャンは店舗スタッフが行うタイプです。一般的には、有人レジの登録機の周囲に決済専用の精算機が設置されており、コンビニやスーパー、アパレルショップ、家電量販店などで導入が進められています。
レジレスは、店舗内に設置されたカメラで購入した商品を確認し、退店時に自動で決済をするタイプです。海外では浸透してきているタイプで、日本でもコンビニやスーパーでの導入が始まっています。 自店舗の顧客層や販売する商品に応じて、適切なセルフレジを選択することが重要です。
セルフレジとセミセルフレジについてはこちらの記事でも解説しています。
参考記事:【完全版】セルフレジとは?種類や価格相場、導入事例を解説
参考記事:セミセルフレジとは?メリットやデメリット、使い方、導入方法を解説
セルフレジを選んだら提供会社に問い合わせを行い、見積もりを依頼しましょう。店舗運営の課題やセルフレジの導入目的などを事前に整理しておくと、最適なプランを提案してもらえます。トラブル発生時のサポート体制やメンテナンス費用など、気になる点があれば積極的に質問しましょう。
納得できる提案を受けられたら契約手続きを行い、店舗にセルフレジを導入します。運用開始前のセットアップは、提供会社の担当者が行ってくれる場合と自社で行う必要がある場合に分けられます。サービスによって異なるため事前に確認しておきましょう。
セルフレジを小売店や飲食店に導入した場合、どのような効果が見込めるのでしょうか。ここでは、セルフレジの導入効果・メリットを解説します。
セルフレジを導入することで、「買い物カゴを受け取る」「お釣りを渡す」などレジ作業の手間を減らせるため、回転率の向上につながります。特にセミセルフレジの場合、時間のかかりやすい商品バーコードの読み取りはプロのスタッフが行い、その他の作業はお客様に任せられるため、レジ待ち時間の短縮が見込めます。顧客満足度の向上につながり、利用客の増加や売上のアップも期待できるでしょう。
多くのセルフレジ機は、電子マネーやQRコード、クレジットカードなどの各種キャッシュレス決済に対応しています。現金以外の決済方法への対応が遅れている店舗でも、さまざまな決済手段をまとめて導入できるのがメリットです。幅広い決済方法に対応することでお客様の利便性が向上し、老若男女問わず利用しやすくなります。
セルフレジではレジ作業の多くをお客様自身が行うため、従業員との不必要な接触を避けられます。コロナ禍の影響でソーシャルディスタンスや非接触での接客を好む方が増えており、メリットと感じるシーンは多いでしょう。特にフルセルフレジの場合、商品バーコードの読み取りから支払い、袋詰めまでをお客様自身で行うため、大きな効果が期待できます。
フルセルフレジを導入すれば、レジに配置する人員を減らせるため、人件費の削減が見込めます。特に、レジ専任のチェッカーやキャッシャーを雇用している店舗で効果的です。また、セミセルフレジを導入する場合も、回転率が向上することで少ない人員でレジ業務を回せるようになり、人件費を抑えられます。
セルフレジを導入すると精算作業を機械化できるため、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。例えば、金額の入力ミスや釣り銭の渡し忘れなどを減らせるため、レジ締めを行う際に金額が合わずに困る心配もなくなるでしょう。
セルフレジは多くの会社が提供しており、どれを選ぶか迷ってしまうケースも少なくありません。そこでここでは、自社に適したセルフレジを導入するために考慮すべきポイントを解説します。
性能や提供会社によって価格差はあるものの、セルフレジの設置には一定の導入費用や運用コストがかかります。多機能な製品ほど価格が高くなるのが基本です。自社に必要な機能を事前に整理しておき、コストパフォーマンスに優れたセルフレジを導入しましょう。導入コストを抑えるには補助金や助成金を活用するのもおすすめです。
セルフレジの効果を店舗運営に最大限生かすには、自社に合わせたカスタマイズが必要です。例えば、自社ECサイトとのデータ連携や、倉庫管理システム(WMS)との連携による在庫管理の効率化などが挙げられます。企業や店舗ごとの異なるニーズに適切な提案をしてくれる会社を探しましょう。
セルフレジは、導入して完了ではありません。設置後も設定や運用に関する相談、トラブルのサポートが必要になる可能性があります。そのため、導入後のサポート体制も考慮して提供会社を選ぶことが大切です。
自社に適した製品を選ぶことも大切ですが、自社におけるセルフレジの導入準備が十分にできているかどうかも重要です。セルフレジの導入目的や解決したい課題を明確化し、セルフレジに必要な機能などを見極めましょう。
また、運用準備も欠かせません。マニュアル・ルールの作成や従業員の教育を行ってください。お酒などの年齢確認が必要な場合の対応や、高齢者などの機器の使用に不慣れな顧客への対応を周知しましょう。準備が不足すると、トラブルが発生した際に店員が混乱してしまうという事態もありえます。
こうしたトラブルを防止するために、防犯対策やトラブル対策を事前に立てておきましょう。
未払いや万引きなどのトラブル対策の詳細は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:【未払い・万引き対策に】セルフレジ導入によくあるトラブルと対策を解説
セルフレジの導入費用は導入方法によって異なるため、それぞれの導入方法の費用相場を紹介します。
購入は、セルフレジを自社の所有物にできる導入方法です。初期費用は高額になる一方、ランニングコストを抑えられます。
購入した場合の費用相場は、100~300万円程度です。一般的に、フルセルフレジよりもセミセルフレジの方が高額な場合が多くあります。
レンタルは、提供メーカーの用意した機種の中から選んで借りる導入方法です。初期費用を抑えられる一方、月額料金がかかります。
初期費用は無料~数十万円程度です。短期間でのレンタルや途中解約も可能なため、お試しで借りることも可能です。
リースは、自社で希望した機種を提供メーカーが購入し、それを借りる導入方法です。レンタル同様に初期費用を抑えられますが、月額料金がかかります。
初期費用は無料でることがほとんどです。リースは長期的な契約であることが一般的で、途中解約はできません。その一方で、レンタルよりも月額費用が安価になりやすいことが特徴です。
セルフレジの導入費用の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:セルフレジの価格はどれくらい?コストを抑える方法についても解説
セルフレジ導入に利用できる助成金・補助金を紹介します。
助成金・補助金は基本的に政府が主導する返済不要の資金調達方法です。受給できればセルフレジ導入にかかる費用の負担を軽減できます。セルフレジ導入に利用できる主な助成金・補助金には、以下のものが挙げられます。
業務改善助成金
ものづくり補助金
IT導入補助金
小規模事業者持続化補助金
各助成金・補助金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023最新】セルフレジ・自動精算機導入に活用したい補助金・助成金まとめ!
近年ではレジの混雑解消やコロナ禍の影響もあり、セルフレジの導入店舗が増えています。ここでは、実際の企業のセルフレジ導入事例をご紹介します。
アパレル大手のユニクロではICタグを活用し、レジに置くだけで商品を自動で読み取るセルフレジを導入しています。すべての作業を利用客が行うスタイルにすることで、レジに配置する人員の削減や非接触化に役立っています。
大手コンビニのセブンイレブンでは、2020年9月よりセミセルフレジを導入しています。商品バーコードの読み取りを従業員が行い、決済は利用客に行ってもらうことでレジの混雑解消を実現しました。今後は、2025年までに買い物客が自ら商品を読み取るようシステムを改修し、さらなる業務効率化や人手不足の解消につなげます。
スーパーマーケットの西鉄ストアは、多くが駅近の好立地に店舗を構えており、ピーク時のレジの混雑に課題を抱えていました。そこで導入したのがセミセルフタイプのPOSレジです。レジ2台と精算機3台を設置することで、レジ待ち時間の短縮やレジ台数・チェッカーの削減を実現しています。
回転寿司チェーンのくら寿司は、店員を介さずに支払いができるセルフレジを導入しています。入店時に発券されるバーコードを読み取り、お客様自身で支払いをしてもらう仕組みです。くら寿司ではすでにセルフ案内サービスを導入しているため、店員とほとんど接触することなく入店・飲食・決済が可能です。
セルフレジの導入は、店舗運営にさまざまな効果を与えます。混雑時の行列や衛生リスク、人件費の増大などに課題を抱えている場合は、セルフレジの設置がおすすめです。自社に必要な機能や導入方法を理解した上で、最適なセルフレジを選択しましょう。 人件費削減に寄与するセルフレジ活用に関する資料を無料公開しています。
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